9月定例会 議案外質問2016/09/14
9月定例会で、個人質問をいたしました。内容は、「熱田区におけるスポーツ施設の整備とその手法について」「地下鉄駅における転落防止対策について」です。
熱田区におけるスポーツ施設の整備とその手法について(1)
~ 他区同等のスポーツ施設の早期整備を ~
森
ともお
熱田区におけるスポーツ施設の整備は、わたしの前任者のおかどめ前市会議員が地元の意向を受け、長年取り組みを進め、後を受けた私へと託された重大な課題であり「熱田区民の念願の一つ」でもある。
これまで、本市16区のスポーツ施設の中で、第1競技場・第2競技場・軽運動室・トレーニング室・屋内温水プールなど、いわゆる本市のスポーツセンターと同等の機能が兼ね備えられていない区は、瑞穂区と熱田区だけだった。しかし、本年度予算として、瑞穂公園体育館建設の設計費が計上され、いよいよ16区中で唯一熱田区だけが、いわゆる本市の標準的なスポーツ施設が整備されていないという状態になってしまった。
「熱田区にもスポーツ施設を」との声は、私の前任者はもとよりそれ以前から、寄せられている。だからこそ、「スポーツ施設を整備してほしい」というその願いを声を大にして伝えさせていただきたい。
ここで、改めて、現在の熱田区のスポーツ施設について触れたいと思う。熱田区には、屋内競技ができる施設として、昭和44年に設置された名古屋市体育館がある。名古屋市体育館は、平成19年度に耐震補強を行い、40年以上の耐用年数があるとされている。本年度予算には、空調設備の設置やトイレ、更衣室、シャワー室などの改修に向けた設計費が計上されている。このことは、2月定例会の教育子ども委員会の予算審議の際、確認をさせていただいた。
そして、すぐ隣には、昭和45年に開設した熱田プールがある。熱田プールは屋外にあるため、一年のうち稼働期間は夏休み期間中の約2か月だけとなっているのが現状だ。
このように、いわゆる第1競技場としての名古屋市体育館はあるものの、熱田区のみ、スポーツ施設として第2競技場・軽運動室・トレーニング室・屋内温水プールなどが整備されていない。
熱田区は高齢化率が高く、人生の先輩方は本当にお元気です。「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶには忍びない方が、いかに多いことでしょう。
毎朝、公園では、グランドゴルフやラジオ体操、太極拳などなど、また、生涯学習センターやコミュニティーセンターなどにおいても、スポーツに限らず、気の合うお仲間と各種多彩な趣味を楽しまれながらはつらつと過ごして見える先輩方がいらっしゃる。
これからますます進むであろう高齢化社会。私は、これまで、次のようなお話をされる先輩方に数多く出会ってきた。「できるだけ、自分のことは自分でできる体でいたい。そのために、毎日少しでも運動をしています」「いつまでも元気でいたいから、今のうちに、体をしっかりと動かさないといけないと頑張っています」
こんな先輩方含め、すべての熱田区民の皆さんが、気軽に、思い切り体を動かすことができる、一年中、気候を問わず泳ぐことができる、そんなスポーツ施設を整備していただきたい、これが私の強い願いである。
さて、平成23年2月に公表された1区1館制の見直し検討の中で、「熱田区のトレーニング室、温水プールについては、既存施設の老朽化等への対応に合わせて検討することが適当である」とされている。また、これらの施設整備にあたっては、新たなアセットマネジメントに取り組む必要があることや、施設が都市公園内にあることによる制約もあることは理解をしているつもりだ。したがって、整備の手法については、アセットマネジメントの考え方を踏まえつつ、民間活力の推進を図ったスポーツ施設の整備を視野に入れる必要があると考える。
そこで、例えば、現在の熱田プールを廃止して、その跡地に、民間活力を活用し、第2競技場、軽運動室、トレーニング室、温水プールなどを含む一体的なスポーツ施設を整備することも一つの方法である。仮に、熱田プール跡地への整備であれば、その敷地面積をみたとき、今、申し上げたスポーツ施設、そして、駐車場の確保も考えると、神宮東公園の一部もしくは、テニスコートの敷地をも視野に入れた設計が必要になる可能性もあると思う。
そこで、教育長にお聞きしたい。
①熱田区におけるスポーツ施設の整備にあたっては、「新たなアセットマネジメントに取り組む必要性」や「施設が都市公園内にあることによる制約」などの課題があったと認識しているが、緑政土木局や財政局をはじめとした関係局との調整を含め、これまでの進捗状況についてお答えいただきたい。
②熱田区におけるスポーツ施設の整備手法については、関係局と連携し、民間活力の推進を図りつつ、区民の健康増進に資するスポーツ施設の整備を早急に進めるべきと考えるが、いかがか。
市
教育長
現在熱田区には、名古屋市体育館に隣接し屋外の熱田プールがあるが、トレーニング室や屋内温水プールなどは設置されていない。その機能をどうするかについては、アセットマネジメントの考え方を踏まえる必要があるなど、様々な課題があり、加えて、都市公園内にあることを考慮し、これまでに関係局と情報交換を行ってきた。
トレーニング室や温水プールなどの整備にあっては、平成23年2月に公表された1区1館制見直し検討の中でも、「既存施設の老朽化等への対応にあわせて、民間スポーツ施設が多数存在するため、民間スポーツ施設の活用も視野に入れた施設のあり方を検討する必要がある。」とされている。また、平成27年9月公表の市設建築物再編整備の方針において、資産を保有しない行政への転換や、民間活力の促進を図ることとされている。
以上を念頭に、関係局と調整しつつ、民間活力活用、民間連携などの可能性を含め、研究をしていきたいと考えている。
熱田区におけるスポーツ施設の整備とその手法について(2)
~ 要望 ~
森
ともお
答弁を聞く限り、スポーツ施設整備について、なかなか前進はしていないなというのが率直な感想だ。今は、子どもたちが毎日過ごす、学校ですら「超長寿命化」という時代だ。先ほどの答弁にもあったが、平成27年には、市建築物再編整備の方針が出されている。本市だけで新たな施設を整備することは、財政的にも大変大変難しい時代になってしまっているということであろう。
私が、ここで申したいことは、熱田区にだけ他の区には整備されているものがないという現実だ。熱田区の公職者の一人として、今の現状に、ものを言わないわけにはいかないということだ。
ですから、先ほどは、例えばと前置きをした上で、熱田プールの跡地にという話をさせていただいたが、日頃から体を動かし、いつまでも元気でいたいと頑張っておられる多くの先輩方も含め、すべての熱田区民にとって、より便利で気軽に体を動かせるのであれば、熱田プールの跡地でなくてもよいと考えている。
例えば、熱田区には、あと2年後には、公社からの買い取り時期をむかえる熱田区役所の南側の土地もある。その土地を視野に入れることも一つの考えだと思う。
その場合には、スポーツ施設を取り込んだまちづくりの観点からの整備となり、より幅広い、横断的な局間連携が必要になると思う。しかし、なんといっても2年だから時間があるという話ではない。
最後に、熱田プールの跡地、熱田区役所の南側の土地、いずれにしても、教育委員会だけでは、なかなか前に進むことができない大きな課題であると認識している。
関係局との調整・連携をしっかりとしていただくとともに、民間活力・民間連携を取り入れた整備手法をしっかりと研究を進めていっていただき、少しでも早い熱田区のスポーツ施設の整備の実現をお願いするとともに、本件については、私も、さらに、地元の皆さんのお声をしっかりと集めさせていただき、次回以降の本会議においても、しっかりと議論をさせていただくことを約束し、要望とさせていただく。
地下鉄駅における転落防止対策について(1)
~ 転落防止対策の早期実施を ~
森
ともお
先月東京メトロ銀座線青山一丁目駅において、視覚障害のある方がホームから転落し、電車にはねられて死亡するという痛ましい事故が発生した。盲導犬を連れていたにも関わらず起きてしまった今回の事故に大変大きな衝撃を受けるとともに、改めて、「鉄道駅における転落防止対策」を見直すとともに、それらへの対応策が前進するよう、今一度、議論を進めなければならないと思う。
本市地下鉄駅での転落事故を見てみると、平成25年度に50件(うち視覚障害者は2件、車いす1件)、平成26年度に48件(うち視覚障害者は6件)、平成27年度は37件(うち視覚障害者は2件)だ。平成25年度には、地下鉄名城線平安通駅で電動車いすの若者が線路に落下し、地下鉄にはねられ死亡するという事故も起きている。
また、痛ましい事故とともに、自殺や学生による線路横断事件など、ホーム柵があれば防げたのではないかという事件や事故が起きてしまっているのが現状だ。
ここで、本市地下鉄駅における転落防止対策について、触れたい。まず、ホーム柵については、上飯田、桜通、東山の三路線で整備が完了した。名城線や名港線については、平成32年度に設置完了の予定である。
ホーム柵の設置が完了している東山線では、年間10件前後あった転落事故が導入後は0になり、その効果は言わずと知れたところだ。しかし、鶴舞線は、他の鉄道会社との相互乗り入れのため、先の見えない状況と聞いている。
次に、内方線である。内方線とは、どちらがホームで、どちらが線路側かがわかるように、警告点字ブロックの内側に線状のブロックを設置したものである。今のところホーム柵の目途がついていない鶴舞線においては、平成29年度までに、残り3駅を設置し、全駅の設置が完了する予定である。
しかし、名城線や名港線については、平成32年度までにホーム柵が設置予定であるため、それまでの4年間、名城線・名港線合わせて34駅のうち、内方線が設置されていない17駅については、設置予定がない状況だ。
私は、教員をしていたころ研修で盲人情報文化センター周辺道路を目隠しして歩いたり、目隠しした人を誘導したりするガイドヘルプ体験をしたことがある。それほど長い距離を歩いたわけではないが、車が通る音や自転車が通り過ぎる音ですら怖く、視覚障害がある方にとって、クラクションの音が恐ろしかったということを鮮明に記憶している。
「視覚障害者にとって、一人で外出することは命がけなんです」これは、最近、視覚障害のある私の友人が言っていた言葉だ。私にとって、衝撃的だった。例えば、音声信号がない信号交差点ひとつを考えても、彼らは、車が通る音、人の気配で渡るかどうかを判断せざるを得ないのである。
先月の事故以降、ホーム柵の設置がなかなか進んでいない現状や、設置にあたっての、多額の費用が掛かることや車両が相互に乗り入れる運行上の事情など、駅のホームにおける転落防止対策について、マスコミ報道でも取りあげられているが、その中の言葉を借りれば、視覚障害のある方にとって、「駅のホームは、欄干のない橋」、すなわち、あやまって転落したら命を失いかねない場所なのである。
そこで、交通局長に質問をさせていただく。
東京メトロでの転落事故を受けての地下鉄駅における転落防止対策について、愛知障害フォーラムはじめ各種団体からの本市への要望事項には、ホーム柵の早期整備のほか、視覚障害者が多く利用する港区役所駅等への内方線の設置、ホーム端への固定柵の設置、人員の配置などがある。
全部を直ちに実現することは難しいことは理解できるが、一歩でも二歩でも前進させるため、実現可能な方策についてできるだけ早期に検討・実施していくべきであると思う。交通局長の見解を。
また、本市では、視覚障害のある方だけでなく、高齢者や車いすやベビーカー利用者はじめ、すべての皆さんが、安心して市バスや地下鉄を利用することができるように、高齢者や視覚障害者の疑似体験をはじめとするバリアフリー研修を職員に対して行っていると伺っている。
一方で、障害者団体の方からは、本市地下鉄改札口においても、インターフォンの設置位置が統一されていないため、特に視覚障害がある方にとっては、「係員を呼びたくても、インターフォンがどこにあるかわからない」との声も聞いている。
インターフォンの設置位置の統一、せめてこれくらいは、早急に取り組むべきと考えるが、交通局長の考えをお訊ねしたい。
交通
局長
東京メトロの視覚障害者の転落事故については、大変痛ましい事故であり、改めて、交通事業者として安全の確保への思いを認識したところである。転落防止対策については、愛知障害フォーラム(ADF)から要望をいただいたほか、愛知県立名古屋盲学校及び中部盲導犬協会を訪問し、意見・要望を伺ったところである。
交通局としては、今回の事故を受けて、駅職員による視覚障害者の方への声掛けを徹底するとともに、駅LED案内表示器及び案内放送により、お客様による声掛けや見守りについてのお願いを実施したところである。一方、国では新たに「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を設置し、総合的な安全性向上対策の検討を始めたところである。国の検討の動向を注視しつつ、障害者団体等からの意見・要望の内容が多岐にわたっているので、その中で実現可能な方策を整理・検討していきたいと考えている。
改札口のインターホンの位置については、調査の上、できるだけ早期に同じ場所に統一できるよう検討する。
地下鉄駅における転落防止対策について(2)
~ 鶴舞線ホーム柵設置の見通し、名城・名港線の内方線整備 ~
森
ともお
鶴舞線のホーム柵の設置については、多額の費用、相互乗り入れ等の課題があることは認識をしている。費用について言えば、現在、国は、JRや私鉄、地下鉄事業者が負担するホームドアの設置費用の3分の1などを補助している。その補助金については、9月8日に、国が予算を増額する方針を固めたとのマスコミ報道もあった。
現時点では、正式な決定でないことは認識しているが、仮に増額がされれば、ホームドア設置の追い風になることは間違いないかと思う。いずれにしても、視覚障害者も含め、地下鉄利用者にとって、安全を確保するためには、ホーム柵の設置が最善であると考える。そこで、地下鉄鶴舞線のホーム柵の設置について、検討状況や今後の見通しをお答えいただきたい。
名城線・名港線は平成32年度にホーム柵を設置する計画であり、鶴舞線についても、少しでも早くホーム柵の設置をお願いしたいと思う。
また、国の指針によると「利用者数1万人以上の駅では、内方線がついた点字ブロックを可能な限り速やかに実施すべき」とあるが、名城線・名港線で内方線が設置されていない17駅のうち利用者数1万人以上の駅は12駅ある。ホーム柵設置が今の計画以上に早まらないのであれば、あと4年かかるという話である。痛ましい事故が再び起きてしまわないうちに早急な対応が必要であると考る。
また、例えば、盲人情報文化センターがあり、視覚障害のある方が多く利用される港区役所駅についても、利用者は1万人には及ばないが、その利用実態から考えると、内方線の設置の優先順位としては高いのではないかと考える。
名城線・名港線の内方線について、すべての駅への設置が無理であるならば、今申した通り、利用者数や、視覚障害者の利用状況などを考慮し、内方線があると望ましい駅だけでも、優先的に設置していただくことを強く要望する。
最後に、地下鉄駅における転落防止対策の前進に向け、実現可能な方策についてできるだけ早期に検討・実施していただくことを改めてお願いする。
交通
局長
インターホン位置の統一など、視覚障害者の転落防止に係る各種施策の実施の際には、交通局ウェブサイトのほか、広報なごや点字版などの活用も検討し、案内をしていきたいと考えている。
地下鉄鶴舞線へのホーム柵設置に関しては、相互直通運転を行っている名古屋鉄道と協議を続けているところだが、具体的な整備計画を立てるに至っていない。こうした中で、国の「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」において、新技術を含めたホーム柵の整備促進などについて検討が始まったところである。
交通局としては、国の検討の動向を注視しつつ、鶴舞線へのホーム柵整備について、検討を進めていきたいと考えている。