平成29年9月定例会 議案外質問2017/09/14
9月定例会で、質問をいたしました。内容は、「なごや観光ルートバス「メーグル」熱田神宮ルートの整備について」「教育にかかわるICT環境の整備について」です。
なごや観光ルートバス「メーグル」熱田神宮ルートの整備について(1)
~ メーグルで名古屋城、熱田神宮、七里の渡しへ!(1) ~
森
ともお
平成28年度に観光文化交流局が新設されて以降、1年半が過ぎようとしています。これまでの間、「ナゴヤ魅力向上・発信戦略」を掲げ、名古屋城から栄、大須、熱田神宮、有松・桶狭間までを結ぶ「歴史・文化魅力軸」を設定し、市内外から観光客を呼び込む方針のもとで様々な取り組みを進めたり、名古屋観光コンベンションビューローと連携し、NHK番組のブラタモリ「名古屋・熱田編」を実現したりするなど、その成果が少しずつ目に見えてきています。
また、本年秋には、新たに熱田神宮界隈の回遊イベント、また、今年度中にも、大学連携による搭乗型移動支援ロボット(いわゆるセグウェイ)の社会実験や堀川を活かした新たな魅力づくりの調査検討がなされるなど、観光都市名古屋としての取組を着々と進めていただいていることに感謝申し上げます。
我が国のど真ん中に位置する、名古屋市ですが、残念ながら、「魅力のない街」と言われるようになってしまっています。しかし、本当に「名古屋には魅力がないのか」「名古屋への観光客は少ないのか」みなさんはどう思われているでしょう?「名古屋市は、名古屋城のほかに行くところがない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。そこで、私は、本市と他の政令都市との観光客数の比較をしてみました。
平成27年度の横浜市、京都市、神戸市、名古屋市、それぞれの観光客数を調べたところ、横浜市3800万人、京都市5700万人、神戸市3600万人、名古屋市は、この中では、京都市に次いで多い4300万人でした。しかも、この4都市で平成26年から27年にかけて最も人数の伸びが高かったのは名古屋市で+370万人、次いで横浜市+310万人、京都市+120万人、神戸市+55万人でした。「魅力がない」と言われながら、本市には、大変多くの方に来ていただいていることがわかります。
では、観光客の皆さんは、本市のどこに足を運ばれているのか。平成28年度11月に発表された「名古屋市観光客・宿泊客動向調査」によると、平成27年度の本市主要観光施設への来場者数の上位の一部を紹介すると、熱田神宮が最も多い710万人、次いで東山動植物園の260万人、名古屋港水族館の210万人、名古屋城170万人、名古屋市科学館140万人でした。
先ほどの、本市の大きな人数の伸びは、あつた朔日市などで盛り上がりを見せている熱田神宮 熱田の杜周辺や、飲食物施設を新規開業した東山動植物園、リニューアル開館した「久屋大通庭園フラリエ」が人気を博していることなどによるそうです。
本市は、三英傑やヤマトタケル伝説をはじめとした歴史、ものづくり産業、最近では、とりわけ名古屋めしが注目を集めるなど、間違いなく、魅力・見どころの多い街だと思っています。
また、最近では、レゴランドが開業したり、ささしまライブ21も整備されたりするなど、2020年の東京オリンピック、2026年のアジア競技大会、2027年のリニア開通を控え、名古屋駅周辺再開発に加え、栄地区や金山、神宮前駅など、昨今、新聞紙に再開発に関するニュースがとりだたされることも大変多くなってきました。
わたしは、これまで、観光施策に関わって、2015年度に「外国人旅行者の受け入れ体制の充実と観光情報の発信について」また、2016年度には、「観光誘導サインの整備について」、それぞれ本会議において、取り上げさせていただいてきましたが、今回は、2年前の質問でも触れさせていただいた「なごや観光ルートバス メーグル」に焦点を当てて質問をさせていただきます。
なごや観光ルートバス「メーグル」熱田神宮ルートの整備について(2)
~ メーグルで名古屋城、熱田神宮、七里の渡しへ!(2) ~
森
ともお
メーグルについて、少し述べさせていただきます。メーグルは「主に市内の公共交通事情に不慣れな観光客の方々に、乗り換えすることなく目的地まで行くことができる交通手段」として、2007年に運行がスタートしました。
皆さんご承知の通り、メーグルに乗れば、「名古屋駅」から「トヨタ産業技術記念館」や「名古屋城」、「徳川園」など、市内の観光施設にピンポイントで行くことができます。また、メーグル一日乗り放題の1デイチケットを提示すれば、なごやめしをはじめ、いくつかのお店で割引サービスなどを受けることもでき、多くの観光客に人気があります。
今回、質問に立たせていただくにあたり、先日、天候のよい日曜日でしたが、改めてメーグルに乗って参りました。時間帯や区間などにもよるとのことですが、超満員のお客様で、その人気の高さが伺えました。メーグルには、土日祝日の午前中に車内で観光アナウンスをしていただいているガイドボランティアの方がいらっしゃいます。お客様に語り掛ける口調で名古屋の歴史や、ルート以外の観光施設のお話も聞くことができ、大変有意義な時間を過ごすことができました。
その日、ガイドボランティアの方にもお話を伺いましたが、「特に、名古屋駅から名古屋城の区間は、とても乗車人数が多く、通常の運行本数では追い付かず、特に土日祝日は、臨時バスを増発して対応されている」「午前中の時間帯がよく混雑している」とのことでした。
現在のメーグルの運行ルートは、名古屋駅をスタートし、トヨタ産業技術記念館、ノリタケの森、名古屋城、徳川園、文化のみち二葉館、市政資料館、名古屋テレビ塔などを経由して名古屋駅に戻るというものであり、言わば、名古屋を東西に横断するルートのみとなっています。
私は、先ほど述べた通り、本市観光施設の中で、最も多くの方が、ヤマトタケル伝説で知られ、三種の神器の一つ「草薙剣」が祀られている熱田神宮に訪れていただいていることや、本丸御殿の改修も進み、天守閣木造復元も歩みを進めている名古屋城も今後ますます注目されることを考えれば、名古屋城や熱田神宮に来ていただいた方に、もっと気軽に名古屋の名所に足を運んでいただくことができるような方策を講ずることが必要であると考えます。
そこで、その方策の一つとして、「名古屋城から熱田神宮、七里の渡しなどを巡ることができるルート」を新規に整備してはどうかと考えます。
なごや観光ルートバス「メーグル」熱田神宮ルートの整備について(3)
~ メーグルで名古屋城、熱田神宮、七里の渡しへ!(3) ~
森
ともお
名古屋駅、名古屋城、熱田神宮に加え、例えば白鳥庭園や七里の渡し、更には、世界最大のプラネタリウムを誇る名古屋市科学館、今後再開発が予定されており、中部国際空港からのアクセスも便利な金山、そして、近年盛り上がりを見せている大須、ますます利用者が増加している国際会議場周辺など、それに乗れば、これら南北に点在する観光施設等に迷わず行くことができるメーグル「名古屋を縦断する・南北ルート」このルートは、まさに、過日NHK番組「ブラタモリ」でも注目を浴びました。ブラタモリルートと言ってもよいのかもしれません。
そこで、観光文化交流局長に伺います。
わたしは、名古屋の南北の観光名所などを巡ることができる「なごや観光ルートバス メーグル」の熱田神宮ルートを新規に整備すべきと考えます。見解をお願いします。
観光文化
交流局長
なごや観光ルートバス「メーグル」は、目的の観光施設まで観光客の方々が乗り換えすることなく移動できる手段として、平成19年に運行を開始し、年々、利用者数の増加に伴いまして、便数を増強するなど、利用者の利便性向上を図ってきたところでございます。
本年3月に策定した「名古屋魅力向上・発信戦略」におきまして名古屋城から栄、大須、熱田神宮を経て、有松・桶狭間までを結ぶ「歴史・文化魅力軸」を設定し、市内外から人を呼び込む方針のもと、現行ルート上におきまして、四間道近辺に新たな停留所を設けることなどを検討しております。
議員ご提案の白鳥庭園、七里の渡しなどを含む名古屋城と大須、金山、熱田神宮を結ぶルートにつきましては、名古屋城を核とした魅力軸上の観光施設をつなぐものであり、現行のバス路線に比べ、観光名所の周遊が容易になるなど、利便性も向上するものと認識しております。また、メーグル利用者へのアンケートにおきましても、現行ルートにはない熱田神宮への訪問ニーズが高いという結果も出ております。
いずれにいたしましても、新たなルート設定にあたりましては、乗降客の需要や採算性を考慮する必要がございますので、旅行、観光関係団体等からなる「なごや観光ルートバス利用促進連絡会議」のご意見等も伺いながら、検討してまいりたいと存じます。
なごや観光ルートバス「メーグル」熱田神宮ルートの整備について(4)
~ メーグルで名古屋城、熱田神宮、七里の渡しへ!(再質問) ~
森
ともお
なごや観光ルートバス メーグルの熱田神宮ルートについて、再質問させていただきます。
局長から、名古屋城を核とした「歴史・文化魅力軸」上に位置する熱田神宮ルートの必要性に対する認識を示していただきました。また、新たなルート設定にあたっては、今後、連絡会議等のご意見等も伺いながら、検討をしていくとのご答弁でした。
しかしながら、メーグルを走らせるんだという局としての思いは感じることができませんでした。
先ほども少し触れた「名古屋市観光客・宿泊客動向調査」によると、名古屋城を訪れた方の11%が熱田神宮に行っており、他のどの観光施設よりも高いポイントになっています。また、熱田神宮を訪れた方の18%が名古屋城に行っており、これも他の観光施設よりも高いポイントになっています。
このことから、本市に来られた方の多くが、熱田神宮と名古屋城に行かれていることが分かります。
だからこそ、名古屋城と熱田神宮はもちろん、先ほど申し上げたような南北に点在する観光施設等に足を運んでいただくことができる名古屋城と熱田神宮を結ぶメーグルの南北ルートを整備が必要であると考えています。
併せて、名古屋といえば「なごやめし」です。熱田神宮ルート上には、名古屋を代表する「なごやめし」を味わうことができる老舗や有名店がたくさんあることも、観光客の皆さんにとって、大きな魅力の一つであることはいうまでもありません。
最後、観光文化交流局長としての「思い」をお聞かせいただきたい。
まさに本市の観光の柱ともいえる、「歴史・文化魅力軸」上に位置する、名古屋城から栄、大須、熱田神宮などを容易に周遊することができる「メーグル 熱田神宮ルート」、このルートの実現にかける局長の思いをお聞かせください。
観光文化
交流局長
観光文化交流局が設置され、2年目を迎えました。この間、「名古屋魅力向上・発信戦略」を策定し、名古屋城を核とした2つの魅力軸の設定、魅力資源の磨き上げ及び、プロモーションの強化により、シビックプライドの醸成や、観光客の誘致を推進するという基本的な考えのもと、様々な取り組みを行っております。
議員ご提案の「熱田神宮ルート」は2つの魅力軸の一つである「歴史・文化魅力軸」に沿ったものであり、名古屋城と熱田神宮を結び、その沿線の観光名所を周遊できるメーグルも魅力発信の強力なツールになると存じます。
また、名古屋城の整備、清州から有松・桶狭間までをつなぐ信長攻路事業及び、熱田神宮界隈の回遊イベント等、当局が行う事業との相乗効果を図る上でも、熱田神宮ルートについてしっかりと検討してまいります。
なごや観光ルートバス「メーグル」熱田神宮ルートの整備について(5)
~ メーグルで名古屋城、熱田神宮、七里の渡しへ!(要望) ~
局長の思いを確認させていただきました。
まさに本市の観光の柱ともいえる、「歴史・文化魅力軸」上に位置する、「メーグル 熱田神宮ルート」の整備の実現に向け、最大限の努力お願いいたします。
今年は、平成19年にメーグルが走り始めて、10年の節目となります。
この節目に、現行のメーグルのルートや停車場所、運行本数、乗車動向などを含めた調査・検討もしていただき、本市観光戦略における「あるべきメーグルの姿」を確認するとともに、今後、本市に訪れた方が、より多くの名古屋市の魅力ある観光施設等を容易に、名古屋の東西南北をぐるっと巡ることができるような、「メーグル」としていただくことを、切にお願いし、私からの要望とさせていただきます。ありがとうございました。
教育にかかわるICT環境の整備について(1)
~ 子どもの学びを支えるICT環境 ~
森
ともお
続いて、「教育にかかわるICT環境の整備」について、質問をさせていただきます。
ICTとは、みなさんすでにご存じかもわかりませんが、「情報通信技術」を意味します。近年のICT分野における技術は、私たちの想像をはるかに超えるスピードで進歩しています。今や、学校教育の場においても、ICT機器は、情報を瞬時に得たり、効果的に情報を伝えたりすることができるなど、子どもの学びを大きく支えることができるという点において、なくてはならない時代に来ているといっても過言ではないでしょう。
そこで、まず、「子どもの学びを支えるICT環境」、とりわけ今回は、「学校の普通教室における指導者用タブレットコンピュータやプロジェクタ等の大型提示装置」に焦点を当てて質問をさせていただきます。
先日、本市小学校の教室を見る機会がありました。その小学校には、すべての普通教室にプロジェクタが常時設置され、無線で接続された電子黒板にタブレットの画面を大きく映すことができ、タブレットで操作した画面への書き込みや拡大などの操作がリアルタイムで大画面に表示されるようになっていました。
タブレットは、カメラ機能なども備えており、先生が持ち歩きをして、子どもたちが記述したノートをその場で撮影し、瞬時にクラス全員で見合って話し合ったり、教科書の図表を授業の進行に合わせて撮影して大きな画面に映して説明資料として使ったりすることができます。
こうした様々な機能をオールインワン化したタブレットコンピュータと常設プロジェクタを学級に設置することで、テレビのような家電感覚のままワンタッチで情報機器が起動し瞬時に授業で活用することができるのです。
また、いつでも使える環境が整えば、タブレットを効果的に用いることで、日々、遅くまで学校に残り授業準備に時間を費やしている先生方が、効率的に授業を行うことができるようになり、教育の質の向上にもつながると考えています。
電子黒板機能付きタブレットが導入されたこの学校の先生方からは、「子どもたちの目線がいつも上がるようになり集中力が持続するようになった」「すべての普通教室に整備されているため、必要な時にすぐに使うことができる」等の声が聞かれました。この声を聞き、今後も改めて教室での学びが大きく変わっていく可能性を感じました。
私が見た授業は、たまたま外国語アシスタントの方と6年生の担任が二人で、外国語活動を行っていたのですが、アシスタントと担任との軽快なコミュニケーションに加え、電子黒板に映し出される映像や音声、イラストやアルファベット、ときにはBGMが流れる中、とても楽しい雰囲気で授業が行われていました。教室には、子どもたちの笑顔であふれていました。
このように素晴らしい機能を持った電子黒板機能付きタブレットですが、本市において、このようにすべての普通教室に常設されているのは、実は、私が見に行った小学校とあと中学校1校だけであることは、昨年11月の本会議においても触れたところです。
そのほかの学校は、移動式のワゴンにノートコンピュータまたは一部の学校はタブレットが、そして、プロジェクタのセットが学年に1セット導入されているだけです。学年に1台しかないということは、当然使いたいときに使えないことがあるということです。
私も教員時代に経験がありますが、その移動式のコンピュータとプロジェクタのセットを授業で用意するとなると、置いてあった教室からワゴンに積んであるプロジェクタのセットを授業を行う教室に移動して、配線をしたり電源を入れたりで、慣れた先生でも5分程度は準備に時間がかかってしまいます。機器の準備だけで5分、片付けも含めば10分弱もかかってしまう、おのずと、その利用に二の足を踏んでしまうことは、明白です。
さて、ここで視点を変えて、国の方針についてお話をしたいと思います。8月に公表されたばかりの「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の最終まとめ「これからの学習活動を支えるICT機器等と設置・機能の考え方」の中で、すべての普通教室や特別教室に指導用コンピュータとプロジェクタ等の大型提示装置の常設が求められています。
具体的には、ICT機器等の設置について、授業の都度教室に運ぶことは、その効果的な活用を妨げる可能性が高いため常設が必要であり、学校のあらゆる場所・教室にて、スイッチ一つですぐに起動でき、授業において必要なときに簡便に使えるようにする必要があるとしているのです。
では、他の政令指定都市はどうなっているのでしょうか。すべての政令指定都市の中で、国の水準通り、各学級に1台以上指導用のコンピュータや大型提示装置が配置されているのは20都市中12都市です。本市では小中学校の各学年1台程度にとどまってしまっていることは、かなり遅れていると言わざるを得ません。配置の順位で言えばなんと16位。また、学習におけるICT関連の予算も、1校あたりに換算すれば、本市は、20政令指定都市中17位、しかも16位との差は、40万円以上もひらいていると聞いています。
次期新学習指導要領で求められている「主体的・対話的な深い学び」の実現を目指し、子どもの考えや思いを表出させて、全体で共有していくためには、即座に全体に提示できるICT機器は非常に有効です。
平成32年度から本格実施される小学校英語が来年度から試行実施されることを考えても、とりわけ高学年には、各学級にタブレットコンピュータと大型の提示装置を常設することは絶対に必要であると考えます。これは、21年間教師として勤めてきた私の立場からも、確信をもって強調させていただきます。
そこで、以上のことを踏まえ、教育長に2点質問させていただきます。
名古屋市の学校のICT環境の整備が大幅に遅れていることについて、どのように認識をしてみえるのか。教育長、よろしくお願いいたします。
普通教室における指導用のタブレットコンピュータや大型の提示装置の整備の拡充は必要不可欠であると考えますが、今後の見通しをお聞かせください。
市
教育長
平成29年8月の文部科学省の「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の最終まとめでは、全普通教室に指導者用コンピュータやプロジェクタ等の大型提示装置を常設するとありますが、本市については、同様の機能を持つ電子黒板機能付きタブレットコンピュータとプロジェクタのセットの配置が小中学校とも各学年1セット程度にとどまっていることは、議員ご指摘のとおりです。
新学習指導要領に示されている、「主体的・対話的な深い学び」を実現するため、また、平成32年度から小学校高学年で英語が教科化される中、こうした機器が有効であることは認識しております。平成29年3月より、小学校1校・中学校1校で全普通教室に電子黒板機能付きタブレットコンピュータとプロジェクタのセットを常設し、試行的に検証を行っております。
今後は、試行校での検証結果を踏まえ、教師や児童生徒が日常的に普通教室で、タブレットコンピュータとプロジェクタのセットを学習利用できるよう、まずは、小学校の高学年からの早期配置を検討してまいります。
教育にかかわるICT環境の整備について(2)
~ 子どもの学びを支えるICT環境(要望) ~
森
ともお
教育長から、「普通教室で、タブレットコンピュータとプロジェクタのセットについて、小学校の高学年からの早期配置を検討する」との大変前向きなご答弁をいただきました。
さかのぼれば、私が中学生のころからコンピュータ室が学校に整備され始め、緊張しながらパソコンを操作した記憶がありますが、そのころから思えば30年以上たった今でも、いまだ本市の小学校には、コンピュータ室にさえ、1学級40台のコンピュータが整備されておらず、半分の20台、すなわち二人の内一人は操作できない時間帯が生じているのです。
先ほども述べさせていただきましたが、平成32年から新学習指導要領が施行されます。英語の教科化、プログラミング教育の導入がなされます。めまぐるしい進歩を遂げる現在の情報化社会において、ICT環境の充実は、必須です。
だからこそ、これまであまりICT環境の整備に力を入れてこなかった他の都市でも、平成32年を見据え、計画的な整備に動き出しているのです。
気づいたときに、名古屋だけ取り残されていたということがあってはなりません。どうか、子どもたちの学びを支えるという視点に立って、本日取り上げさせていただいた普通教室への、タブレットコンピュータとプロジェクタをはじめとしたICT環境の整備を確実に進めていっていただくことを要望させていただきます。
教育にかかわるICT環境の整備について(3)
~ 教師が子どもと向き合う時間の確保 ~
森
ともお
次に、「教師が子どもと向き合う時間の確保」についてです。
本件については、全国的な課題となっており、文部科学省においても、現在、中央教育審議会の特別部会で、教員の働き方改革について議論がなされていると聞いています。
本市においても、学校の教員は、授業はもちろん、児童生徒の生活指導、部活動、保護者や地域などへの対応など、大変幅広い業務を行っています。その他にも、児童生徒の成績処理をはじめとする様々な学校における事務を担っており、教員が子どもと向き合う時間を確保していくためには、教員の担う様々な業務を、ICTの活用などにより、効率化していくことが重要であると思っています。
本市では、児童生徒の成績処理などを、ICTを活用して行う「校務支援ソフト」が平成28年度から本格導入されており、すべての小中学校に配信されています。
しかしながら、校務支援ソフトを活用している学校から話を伺うと、「導入後、作業の効率化につながった」という声を一部聞いている一方で、一部の学校が標準運営費で購入した市販のソフトに比べ、「使い勝手がよくない」「使うことができる機能が限られている」との多くの声も聞いています。実際、学校全体での導入率はまだまだ高くありません。
本校務支援ソフトについては、平成26年度からの試行実施が始まり、その度、改善を重ね、平成28年度の本格実施を迎えました。しかしながら、平成28年度末の学校全体での利用率は、なんと小学校で24%、中学校で30%です。平成29年度の利用率はまだ調査がされていないとのことですが、劇的に増加していることはないのが現状です。
学校におけるICT環境の整備は、教員が子どもと向き合う時間の確保のためには、喫緊の課題であると考えます。ここで、教育長に2点お伺いします。
現在、本市が導入している「校務支援ソフト」について、現状をどのように認識しておられますか。
また、導入率の向上には、校務支援ソフトの継続的な改善が必要であり、平成32年度からの新学習指導要領の全面実施を間近に控え、校務支援ソフトの抜本的な見直し、また、それに伴う大きな経費が必要であると考えますが、今後、どのように対応していくお考えですか。お答えください。
市
教育長
名古屋市では、教員の負担軽減を図ることを目的として、平成26年度より、新たな校務支援ソフトの開発を始め、昨年度から全小中学校で利用できるようにしておりますが、学校現場では、使い慣れた市販ソフトと併用していることもあり、利用率は高くない状況となっています。
教育委員会といたしましては、移行へのサポートや、来年度から小学校で実施される「特別の教科 道徳」への対応など、現場のニーズに対応したソフトの修正に努めてまいります。
また、平成32年度から、新学習指導要領が全面実施され、小学校5・6年生での外国語科の新設などが予定されており、通知表や指導要録が大きく変更されます。これに伴い、校務支援ソフトもさらなる改修が必要になってくる見込みです。
教育委員会といたしましては、当面は現在の校務支援ソフトの改修を行いつつ、平成32年度以降の新学習指導要領の全面実施に向けて、教員の業務の一層の効率化・迅速化につながるよう、校務支援ソフトを含めたICT環境の整備について、抜本的な見直しを検討してまいりたいと考えています。
教育にかかわるICT環境の整備について(4)
~ 教師が子どもと向き合う時間の確保(要望) ~
森
ともお
先ほど指摘させていただいた通り、学校において幅広い業務を担っている教員が、子どもと向き合う時間を確保していくためには、教員の担う様々な業務を、ICT環境の整備により効率化していくことは、とても効果的であると思っています。
しかし、活用すれば大変有効なICT技術ですが、この分野は、非常に高度化・専門化しており、現在の名古屋市では、学校現場や教育委員会事務局のそれぞれの課がばらばらに担当していることにより、パソコントラブルの際の対応や、パソコンセキュリティなどなど、ここで多くは語ることは控えさせていただきますが、大変多くの課題があります。
教育長からは、「校務支援ソフトを含めたICT環境の整備について、抜本的な見直しを検討していく」と前向きなご答弁をいただきました。学校現場を取り巻く状況や校務支援ソフトの現状をご理解していただいたこと、そして、なんとか改善をしていくんだという強い決意を受け止めさせていただきました。しかしながら、教育委員会の現体制では、抜本的な見直しは大変難しい課題であると認識をしています。
そこで、私からご提案を含めた要望をさせていただきます。本日ご答弁いただきました、校務支援ソフトの抜本的な見直しのために、また、教員が子どもと向き合う時間の確保のために、情報にかかわる今の教育委員会の体制を見直し、今後、先に述べた子どもの学びを支えるICT環境、校務支援ソフトをはじめとする学校のICT環境など、教育委員会内で総合的に進めていく体制を構築すること、例えば、具体的には、我が会派の平成30年度予算要望書にも挙げさせていただきましたが、教育委員会内に「情報推進課」を設置することが必要であると考えます。
教育委員会内での連携はもちろんのこと、総務局との連携を視野に入れ、平成32年に向けた校務支援ソフトの抜本的見直しを考えれば、遅くとも2年以内に、課の設置を含めた、体制の構築をしていただくことを強く強く要望させていただきます。
そのことが、本日取り上げさせていただいた、「子どもの学びを支えるICT環境」と「教師が子どもと向き合う時間の確保」、子どもと教師、両面からの教育にかかわるICT環境の整備を前進させる上で、大変重要であることを最後に申し上げ、要望とせていただきます。