平成30年6月定例会 個人質問2018/06/26
6月定例会で、質問をいたしました。内容は、「金山総合駅周辺における帰宅困難者対策について」です。
金山総合駅周辺における帰宅困難者対策について(1)
~ 大阪府北部の地震を振り返って ~
森
ともお
質問に先立ち、先日18日に起きた大阪府北部を震源とする地震の際にお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。また、被害にあわれた方々やそのご家族に対し、心からお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
さて、今回の地震において、JRなどの公共交通機関の運行停止により、自宅への距離が遠く、徒歩による帰宅が困難な方、いわゆる帰宅困難者が、多く発生したとの報道があったことは皆さんもご承知の通りです。
これまでも、巨大地震や台風などの自然災害発生時に駅構内などにあふれる帰宅困難者対策が災害時の大きな課題であるということは、その都度、クローズアップされてきました。そして、今回の地震に関わるマスコミ報道にあったように、帰宅困難者対策の難しさも浮き彫りになっています。
例えば、今回の大阪府北部の地震では、交通結節点でもある新大阪駅が他の路線より早く復旧し、他地域から新幹線に乗った多くの方が新大阪駅で降車することができるようになりました。しかし、他の路線復旧が追い付いていない中での復旧であったために、新大阪駅でおりた乗客の行き場がなく、駅周辺に、より多くの人があふれる事態が起きてしまいました。交通結節点だからこそ起こった、まさに負の連鎖ともいえる今回の事態は、大きくマスコミに取り上げられました。
なぜ、今回の地震で帰宅困難者に関わる報道が大きく取り上げられているのか、それは、阪神淡路大震災や東日本大震災などの地震と異なり、大変多くの方が公共交通機関を利用する時間帯、すなわち通勤・通学のラッシュアワーに起きた初めての巨大地震だからです。
ラッシュアワーに地震が発生したことにより、会社や学校に辿り着けず途方に暮れる方をはじめ、途中であきらめて自宅に戻ろうとする方など、様々な人の動きが交錯して、あらゆるところに人があふれ、行き場を失い、結果的に帰宅困難者という形で顕在化してしまったと言えます。
金山総合駅周辺における帰宅困難者対策について(2)
~ 本市の名古屋駅周辺に目を向けると ~
森
ともお
ここで、本市の名古屋駅周辺における帰宅困難者対策に目を向けます。名古屋駅は、1日の乗降客数が約124万人の中部圏最大のターミナル駅であり、現在も、リニア開通などに向けて、各所で開発が進められているところです。そうした中、大規模地震等が発生した際の帰宅困難者対策については、この議場でも取り上げられてきました。
現在、名古屋駅周辺では、仮に平日午後2時に南海トラフ巨大地震が発生した場合、行き場のない帰宅困難者が4万2000人に上ると推計されています。それらの推計などを基に、官民一体となった、退避施設、食糧や飲料水などの防災備蓄物資の確保などの取り組みが進められています。
先日、帰宅困難者対策に詳しい東京大学生産技術研究所の「加藤准教授」に、本市の「名古屋駅周辺地区都市再生安全確保計画」における帰宅困難者対策についてお話を伺いました。官民連携のバランスや退避施設の充足率、PDCAサイクルによる計画の柔軟性・発展性など、全国的にみても、この名古屋の計画がいかに優れているかというお話を伺いました。
もちろん、マスコミにも取り上げられたように、退避施設の充足率が100%には、未だ足りていないのが現状であり、今回のように通勤・通学のラッシュアワーに巨大地震が起きた場合、さらに多くの帰宅困難者が発生する可能性は否めません。実際に地震が発生した際、本当に実効性のある計画なのかなど、多くの点について、常に、市民の生命と財産を守るという観点で、より実効性のあるレベルの高い計画となるよう目指すとともに、計画実現に向けた財政措置を確実に図るべきであることは言うまでもありません。
金山総合駅周辺における帰宅困難者対策について(3)
~ 金山総合駅周辺の実態と対策 ~
森
ともお
一方で、名古屋駅についで中部圏第2位の約46万人の乗降客数を誇る金山総合駅についても、本市における重要な交通結節点の一つであり、大規模自然災害の発生に伴う帰宅困難者に関する大きな問題を抱えています。
とりわけ、金山総合駅は、名古屋城と熱田神宮、名古屋港を結ぶ導線軸上に位置しています。また、海外との玄関口である中部国際空港と開通が予定されるリニア中央新幹線名古屋駅とを結ぶ導線軸上にも位置しており、これら二つの軸が交差するこの地ならではの対策が必要です。
実際、平成25年9月や平成28年8月に発生した大雨の際には、多くの人が金山総合駅連絡通路橋や金山南ビルなど、金山総合駅周辺に集中し、大きな混乱をきたしたと聞いています。
これらの帰宅困難者の問題は、とりわけ、駅周辺に住む地域住民にとって、決して他人事ではありません。実際に、東日本大震災で大きな被害を受けた仙台市では、駅に滞留した多くの帰宅困難者が指定避難所に流入し、地域で大混乱が発生したと聞いています。
金山総合駅すぐ北側には、中区の平和学区、正木学区、南側には、熱田区の高蔵学区、(野立学区)、西側には中川区の八熊学区などが位置しています。例えば、私の地元、熱田区高蔵学区を例に挙げます。指定緊急避難場所や指定避難所には、高蔵小学校や沢上中学校などがありますが、仮に、大規模自然災害が発生した際には、高蔵学区や旗屋学区など近隣住民の皆さんが、そこに避難をされるでしょう。
しかし、高蔵小や沢上中などが受け入れられる人の数、そして緊急物資には当然限りがあり、地元住民に加えて、金山総合駅などから大勢の帰宅困難者がそれらの場所に流れてしまった場合、大混乱をきたすことは明白です。
先日、防災危機管理局に尋ねたところ、金山総合駅周辺における帰宅困難者対策については、昨年に検討会を立ち上げ、現在、行政機関や鉄道関係機関、地域団体などを交えて、官民一体で検討を行っているとのことでした。
確かに、金山総合駅周辺の帰宅困難者対策について、関係団体と検討・調整を行い、地域として防災意識を醸成する合意形成は大切なことですが、大阪府北部地震を受け、今まさに一段進んだ具体的な帰宅困難者対策が求められます。私が思うのは、スピードと中身です。
そこで、防災危機管理局長にお訊ねします。
金山総合駅周辺では、初めての取り組みとなる「帰宅困難者向けの退避施設の確保」や「帰宅困難者向けの備蓄物資の確保」を早期に取り組むべきであると考えます。いかがでしょうか。
特に、金山総合駅周辺には大規模商業施設が集約しており、その立地条件を生かした金山ならではの帰宅困難者対策、退避施設の確保ができると思います。防災危機管理局の御所見を伺い、私の第1回目の質問をおわります。ありがとうございました。
防災危機
管理局長
金山駅周辺地区の帰宅困難者対策については、関係行政機関、鉄道事業者や民間企業などで構成する「金山駅周辺地区帰宅困難者対策検討会」を平成29年1月に立ち上げ、大規模災害時における帰宅困難者等の安全の確保に向けた取り組みについて、検討を進めているところです。
退避施設等の確保については、帰宅困難者の安全を一時的に確保するため重要であると認識しています。議員ご提案の、金山駅周辺の大規模商業施設を含めた退避施設等の確保が早期に実現できるよう、関係局とともに取り組んでまいります。
飲料水や食糧などの備蓄物資の確保については、民間企業の皆様に従業員用の備蓄物資のほか、可能な範囲で帰宅困難者向けの備蓄物資を確保していただくよう働きかけるとともに、今後は、本市としても備蓄物資が確保できるよう、関係機関との調整を図りながら、前向きに検討してまいります。
金山総合駅周辺における帰宅困難者対策について(4)
~ 官民一体となった訓練の実施について(再質問) ~
森
ともお
防災危機管理局長から、金山総合駅周辺の帰宅困難者対策にかかわり、「退避施設の確保」「備蓄物資の確保」について、それぞれ前向きなご答弁をいただきました。
備えあれば憂いなしです。市民の皆さんの生命を守る取り組みとして、いつ来てもおかしくない南海トラフ巨大地震や台風・水害などの自然災害に備え、官民一体となった災害時を想定したシミュレーション訓練を、一刻も早く、遅くとも本年度中には、実施すべきであると考えます。
防災危機管理局長、ご答弁願います。
防災危機
管理局長
官民一体となった訓練の実施については、発災時の手順や役割の確認など、関係機関の相互協力体制の確立に向けて重要であることから、早期に実施できるよう、関係機関とともに取り組んでまいります。
金山総合駅周辺における帰宅困難者対策について(5)
~ 本市全体としての対策の構築を ~
森
ともお
防災危機管理局長から、「金山総合駅周辺における官民一体となった実践的な訓練実施を今年度中に」とのご答弁をいただきました。
実践的訓練については、官民一体となって、関係機関や地域住民を巻き込んだ形での実施となると思いますが、ぜひ、その訓練の結果を基に、課題を洗いだし、よりレベルの高い、実効性ある金山総合駅周辺の帰宅困難者対策に繫げていただくよう要望いたします。
また、年末年始を中心に、本市で最も多くの方が訪れる熱田神宮周辺はじめ、ナゴヤドーム近くの大曽根駅周辺など、人が多く集まる場所やタイミングで大規模自然災害が発生した場合、どのような事態が予想されるかということについてもシミュレーションしておく必要があります。
市内には、これまで述べた以外にも駅など人が多く集まる場所が各所にあります。私は、防災対策、とりわけ今回は帰宅困難者について取り上げさせていただきましたが、本市全体としての対策をいかに構築するかということが重要であると思っています。
今後も、先に述べた本市の帰宅困難者対策の利点を生かしつつ、名古屋駅や金山総合駅周辺における帰宅困難者対策を充実するとともに、その取り組みを全市に広め、本市全体としての帰宅困難者対策を構築していただくことを強く強くお願い申し上げ、私からの質問を終わります。ありがとうございました。