平成31年2月定例会 個人質問2019/03/04

2月定例会で、質問をいたしました。

  1. 小学校における新たな運動・文化活動について
    ――すべての子どもたちのために――
  2. 子どもが安心して学ぶことができる学校施設の環境整備について

小学校における新たな運動・文化活動について(1)

~ 部活動見直し発表から1年が経ち ~

ともお

本件については、昨年2月定例会本会議や教育子ども委員会において、我が会派のうかい春美議員はじめ多くの諸先輩同僚議員から、様々な質疑が行われたところです。2月定例会本会議では、教育長から、「小学校の部活動を廃止する方向で見直す」との答弁があり、「廃止」という言葉の強さも相まって、多くのマスコミ報道がなされました。
その結果、地域や保護者の方からは、「急に部活動をなくさないでほしい」「地域や民間の方から専門的な指導を受けられるようになるならありがたい」などの様々な声が、また、部活動に携わられている先生方からは、「自分たちの本来の職務である授業の準備などに多くの時間を費やすことができるようになる」「部活動の指導ができなくなることは寂しい」など、多くの声が上がりました。

森ともお あれから1年が過ぎました。これまで、私のもとにも、多くの保護者や部活動に携わってみえる先生方から「教育長は2021年に本格実施をすると明言をされたが、全校分の予算が本当につくのか心配」「部活動に携わることができなくなることは寂しい。しかし、本当に2021年度から、すべての子どもたちに授業後の活動の場が保障されるのかが心配」などの不安の声も寄せられています。
私は、当然のことながら、希望するすべての子どもたちに、2021年度から新たな運動・文化活動の場が確実に提供されると信じておりますが、教育長、来年度、市内5か所においてモデル実施が予定されている「小学校における新たな運動・文化活動」について、これまでの検討の経過及びモデル実施の内容や本格実施に向けた決意をお聞かせください。

名古屋市
教育長

近年の教育に関わる課題の複雑化、多様化による教員の多忙化に伴い、教員が授業の準備や教材研究の時間をしっかりと確保することが急務となっていることから、部活動につきましては、PTAや学校関係者、学識経験者等から様々なご意見をいただきながら検討した結果、平成30年3月に、教員が指導する現在の小学校部活動を見直す方針をお示しさせていただきました。

小学校部活動の見直しにあたりましては、関係各局も参加した検討会を立ち上げ、運営手法や指導者の確保、経費の抑制などにつきまして検討してまいりました。こうした検討を踏まえ、平成31年度には、市内5か所におきまして、運動部、文化部共に現在の実施種目を基本として、民間事業者が部活動の運営を行うモデル事業を実施する予定でございます。

モデル事業を通して持続可能な運営体制や指導者の確保、学校との連携などの課題を整理するとともに、子どもたちが1つの種目だけではなく、様々な種目を経験できる機会を設けるなど新たな試みにつきましても検証することといたしています。
教育委員会といたしましては、平成33年度からも引き続き、安全・安心で子どもたちが楽しめる新たな活動にしてまいりたいと考えているところでございます。

小学校における新たな運動・文化活動について(2)

~ 新たな運動・文化活動の完全実施に向けて ~

ともお

教育長から、「平成33年度(2021年度)からも引き続き、安全・安心で、子どもたちが楽しむことができる新たな活動にしていく」との答弁がありました。
しかし、来年度5か所のみのモデル事業だけで、2021年度から新たな運動・文化活動を完全実施するに足る試行ができるのでしょうか。

本市には、皆さんご承知の通り、小学校は全部で261校あります。先ほど教育長から「運動部、文化部ともに、現在の実施種目を基本として、民間事業者が部活動の運営を行う」とのご答弁がありましたが、現在、市内小学校で行われている部活動は、野球・ソフトボール・サッカー・バスケットボールなど、運動部だけでも978、合唱・器楽・園芸など、文化部が219、合計で1197もの部活動があり、2000人を超える教員がその指導にあたっています。

私も、約21年間の小学校の教員時代、ソフトボールやサッカー、バスケットボールなど様々な部活動の顧問を務めさせていただきました。その中で、子どもたちが、楽しみながらも歯を食いしばって一生懸命に練習し、その結果、大会で全力を尽くし勝利したり、優勝したりして大きな感動をともに味わってきました。また、子どもたちが互いに励まし合い、教え合い、そして、ときにはけんかもしながら、技術のみならず、子どもたちが精神的にも成長する姿を目の当たりにしたりしてきました。
反対に、大会で一勝もできずに、子どもたちと同様に自分自身も大きな悔しさを味わったこともありました。このような、懸命に頑張ったからこそ得られる、勝ったときの喜びやうまく発表できたときの達成感、負けてしまったときやうまく発表することができなかったときの悔しさなども含め、子どもたちには、様々な経験をしてほしい、そして、学年を越えた多くの友達と接するなかで、人とのかかわり方を学んでほしい、友情を育んでほしい、これが私の率直な願いです。

森ともお 現在の部活動は、こうした子どもたちのために全力で頑張っている2000人以上の教員に支えられています。正直、「本当にすべての小学校でこの新たな活動が実現するのだろうか」という不安感はぬぐい取ることができません。
部活動を希望するすべての子どもたちに、新たな活動を保障することは、子どもたちや保護者の皆さんの強い願いだと思います。
そこで、副市長にお聞きします。本市のすべての子どもたちに、すなわち小学校261校すべての小学校における、新たな運動・文化活動の完全実施に向けた、名古屋市副市長としての決意をお聞かせください。

名古屋市
副市長

小学校における新たな運動・文化活動の本格実施に向けた私の決意について再度お尋ねをいただきました。
これまで長く教員によって運営されてきた小学校部活動は、スポーツや文化に親しむ機会を作るとともに、異年齢との交流の中で、仲間との人間関係の構築を図るなど、子どもたちが豊かな学校生活を送るうえで大切な役割を果たしてきたと認識をしております。

その部活動の運営主体を見直すにあたりましては、教員に代わる人材やその予算の確保など、解決すべき課題もございますが、地域の皆様方ともよくよくご相談をさせていただき、持続可能な制度とすることが大切だと考えております。

今回のモデル事業を踏まえ、地域の皆様方をはじめとする多様な大人に参画をいただくことで、多くの出会いと豊かな経験をすることのできるより充実をした活動にしてまいりたいと考えており、平成33年度には新たな運動・文化活動への参加を希望するすべての子どもたちに活動の機会をできるよう全力で取り組んでまいります。

小学校における新たな運動・文化活動について(3)

~ スムーズな本格実施への道筋を(要望) ~

ともお

副市長より、「新たな運動・文化活動への参加を希望するすべての子どもたちに活動の機会を提供できるよう全力で取り組む」との力強いご答弁をいただきました。
本件については、これまでの本市の授業後の子どもたちの過ごし方への行政としての関わり方という点において、大変大きな変革であります。だからこそ、保護者を含めた地域の皆さんや子どもたちの声に耳を傾けていただくとともに、今回の新たな活動が、子どもたちにとって安心で安全な活動となることを最も重要な要素としてご認識いただき、今後、着実に、確実に、持続可能な制度を構築していただきたいと強く要望させていただきます。

そして、2021年度の本格実施に向けては、今回のモデル実施を受け、遅くとも、2020年度の上半期には、明確に新たな活動の形を示し、地域、保護者や学校に対して周知を図るなど、スムーズな本格実施への道筋をつけていただくことを要望させていただきます。

子どもが安心して学ぶことができる学校施設の環境整備について(1)

~ 事故を未然に防ぎ、子どもたちの命を守るために ~

ともお

昨年6月、大阪府北部において発生した震度6弱の地震により、小学校のプールに設置されていた補強コンクリートブロック造の塀が倒壊し、小学校4年生のお子さんが亡くなるという大変悲しい事故が発生しました。
本日、本議場にいらっしゃる皆さんのお子さんやお孫さんの年頃の、未来ある子どもの大切な命が、よりによって、本来子どもたちが夢や希望をもって学ぶべき場所である学校の施設によって失われてしまったことは、本当に悔しいことです。

大阪府北部地震のみならず、台風21号や北海道胆振東部地震等、昨今、頻発している大規模自然災害による被害も踏まえ、昨年10月、文部科学省は、「学校施設等の耐震性及び劣化状況に関する緊急点検」を実施しました。
その緊急点検の結果を申し上げますと、全国の幼稚園なども含む公立学校のうち、法定点検自体を実施していない学校や、点検後に必要な対応がされていない学校が全体の68%となっています。
日本の子どもたちの約7割は、安全に課題がある学校に通っているという事実が明らかになったのです。

一方で、本市の「安全に課題がある」学校の割合は24%と全国の平均に比べ大きく下回る結果となっています。これは、全ての学校で法定点検が行われ、点検の結果に応じて改修を進める仕組みが確立していることによるものです。
本市においては、国の調査時以降も、子どもたちに直接危険を及ぼすものについては優先的に改修されていることは承知しています。しかしながら、指摘の多い壁面のクラックや雨漏りなど全てを解消できているわけではなく、これらを放置することは、校舎を痛め、いずれは大きな事故を誘発する原因になります。

森ともお もちろん、点検による指摘は、毎年積み重なっていくものであり、指摘箇所を改修しても翌年には次の指摘が出てくることから、「安全に課題がある」学校の割合を0にすることは困難であることは理解していますが、危険個所は速やかに解消し、限りなく0に近づけることが必要です。
事故を未然に防ぎ、子どもたちの命を守ることは行政の大きな使命です。子どもたちの安心・安全のため、法定点検での指摘事項に着実に対応することにつきまして、教育長の見解をお伺いいたします。

名古屋市
教育長

子どもたちが安心して学ぶことができるように、本市におきましては、これまでに校舎の耐震補強や天井落下防止工事を行うとともに、普通教室へ空調を設置するなど、学校施設の環境整備に努めてきたところでございます。
学校施設につきましては、長期的なサイクルに沿った計画的な改修を進めておりますが、子どもたちの安全のために速やかに修繕すべき箇所については最優先で対応しているところでございます。

教育委員会としましては、子どもたちの安心・安全のため、引続き予防保全の観点から計画的な改修を進めつつ、法定点検の指摘事項など修繕が必要なものについては、着実に対応してまいりたいと考えております。

子どもが安心して学ぶことができる学校施設の環境整備について(2)

~ 学校施設の環境整備に対する予算の充実 ~

ともお

教育長から、「法定点検の指摘事項など修繕が必要なものについて着実に対応したい」との決意をお聞かせいただきました。
昨年の災害級の酷暑や地震によるブロック塀の事故を踏まえ、管理諸室の空調設備更新で約12億8500万円、ブロック塀の撤去で5億2400万円が30年度補正予算案、31年度当初予算案として上程されています。
予算編成過程の公表で分かったことですが、教育委員会はこれらの予算を30年度当初予算で要求をしていました。しかし、教育委員会が「事故を未然に防止する」との考えの上で行った計画的な改修のための要求は予算化されませんでした。

行政の責任とは、事故が発生し全国的な騒ぎになってから、予算をつけるのではなく、いかに未然に事故を防ぐために何をするかであると思います。だからこそ、「子どもたちが安心して学ぶことができる学校を!」という教育現場の声に耳を傾けるべきであり、そのためには予算の充実が不可欠です。
そこで、副市長にお伺いします。学校施設の環境整備に対する予算を充実することについてどのようにお考えでしょうか。

名古屋市
副市長

大阪府北部地震が発生した朝、テレビから学校のプールサイドのブロック塀が倒れている光景が目に飛び込んできたことを今でも鮮明に覚えております。
この事故により、改めて安心・安全な教育環境とはどうあるべきかについて考えた結論としましては、やはり、いかに事故を未然に防ぐかであり、そのためには現場の声をつぶさに聴き、状況を適切に把握することではないかと考えております。

先ほどご指摘のありました緊急点検により、学校施設の老朽化という全国的な課題が明らかになった今、何かを変えることが我々に求められていると考えており、計画的な整備だけでなく、子どもたちの安全を守るため学校現場が必要とする工事が補助の対象になるような、新たな補助制度の創設を国に求めてまいります。
学校施設の環境整備に対する予算につきましては、今後も予防保全の考えのもとで計画的な改修を進めるとともに、安心・安全な学校施設を維持管理できるよう、適切に編成してまいりたいと考えております。

子どもが安心して学ぶことができる学校施設の環境整備について(3)

~ 予防保全の考えのもとでの取り組みを(要望) ~

ともお

今回の補正・当初予算では、ブロック塀の改修を始め、管理諸室の空調更新、音楽室・図書室の空調設置などが計上され、教育現場からも高く評価されていると聞いております。
適切な予算編成を行うとの答弁、これには予算の充実の意味が含まれていると私は理解しております。今後も学校施設の環境整備は続いていくわけでありますが、その都度、教育現場に耳を傾け、対処療法でなく予防保全の考えのもと、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

さて、今回の文部科学省の臨時特例交付金については、補助の下限額が大きく緩和されており、交付決定前の事項についても対象とするなどの、まさに異例の取り扱いがされております。これは、名古屋市が行った「学校におけるブロック塀等の安全確保に関する緊急要望」の成果であると聞いております。6月のブロック塀の事故発生の翌月7月に、全国に先駆けて行動した廣澤副市長・教育長をはじめとした市役所の皆さんの熱意が、国を動かしたといっても過言ではありません。名古屋の行動が、国を動かし、その影響が地方にも波及したのです。

市内には400近い学校施設があります。そのすべての環境整備について一般財源だけで賄うことが非常に困難であることは、一定程度理解できますが、ならば、どうすれば国から財源を得ることができるかという視点も必要です。
「子どもたちの命を守るために、先んじて対応すべき」この思いを大切に、臨時特例交付金のような地方の要望に沿った新たな補助制度が創設されるよう、市長、市長自らもリーダーシップを発揮し、国への要望に取り組んでいただくことを強く要望し、本件については終わらせていただきます。

MoriTomoo

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