令和元年11月定例会 質問2019/11/28

11月定例会で、質問をいたしました。

  1. 名古屋市科学館の機能強化について
    ――名古屋市科学館を子どもたちの誇りに――
    (1)名古屋市科学館60周年を見据えたグランドビジョンの策定
    (2)プラネタリウムを活用した学習機会の創出

名古屋市科学館の機能強化について(1)

~ 名古屋市科学館60周年を見据えたグランドビジョンの策定 ~

ともお

名古屋市科学館が開館したのは1962年、それから間もなく60年が経とうとしています。
名古屋市科学館は、「みて、ふれて、たしかめて」をコンセプトに、世界最大とギネス認定されているプラネタリウム「Brother Earth」を有し、自然のダイナミズムを体験できる4つの大型展示をはじめとした約230もの展示がなされている日本最大規模の科学館です。

森ともお 本市科学館の歴史を振り返ってみます。1962年、プラネタリウムをメインとした「天文館」が開館しました。そして、2年後1964年に物理・原理などの内容を紹介する「理工館」。1989年には、生命・環境などを紹介する「生命館」が開館。また、「天文館」「理工館」の改修を実施し、まさに総合科学博物館としてリニューアルされました。その後、2011年に、再度、大改修がなされました。

世界最大級の直径35mのドームを誇るプラネタリウムの整備をはじめとした2011年の大改修当初、年間入館者数100万人を想定していた科学館は、現在も、年間約130万人の方に来館していただいています。特に、プラネタリウムの年間観覧者数は、ここ数年は堂々全国第一位の約50万人で、第二位の「コニカミノルタプラネタリウム“満天”in東京スカイツリータウン」を10万人以上離しています。
これは、プラネタリウムを整備した際、当時最新鋭の最新となる投影機や映像システムを導入することで、限りなく本物に近い星空を再現することができたり、専門学芸員によるライブ解説を行ったりしていることなどが大きな理由であると思います。また、次々に打ち出される魅力ある企画展や展示内容の工夫など、学芸員はじめ関係者の皆さんのご尽力の賜物でもあると思います。

一方で、課題もあります。特に開館から30年が経とうとしている生命館の展示内容のリニューアルはもちろん、ものづくり愛知・名古屋だからこそ、例えば自動運転やVRなど、最新の科学技術を体感できるコーナーの設置、他にも、トイレの洋式化や魅力ある飲食店の誘致、外国人観光客への多言語対応の強化など施設の充実や機能強化をすべき時期に来ていると考えます。
とりわけ、まもなく10年が経とうとしているプラネタリウムの機器の更新は喫緊の課題です。ICT機器の目覚ましい進歩が進む昨今、皆さんの中で、例えばスマートフォンやタブレットなど、10年、いや5年間、同じ機器を使い続けている方は多くはないでしょう。
だからこそ、現在、本市プラネタリウムでは、老朽化している機器を、その日、各回の投影に向け、学芸員さんを中心に細かな調整や補修などを行い、ギリギリのところでプラネタリウムに来ていただく皆さんに、何とかそのすばらしさを味わっていただいているのが現状です。

さて、2021年3月には理工館・天文館の新館オープンから10周年、2022年11月には名古屋市科学館開館60周年を迎えます。2016年2月定例会本会議にて質問をさせていただいたノーベル賞受賞者顕彰施設については、過日、リチウムイオン電池の開発においてノーベル化学賞を受賞された吉野教授の功績も含め、現在、愛知県と共同して整備が進められており、来年度開館を予定しています。

今年の夏以降、私は、東京都多摩市の多摩六都科学館や、三重県津市のプラネタリウム「神楽洞夢」などを視察してきました。多摩六都科学館のプラネタリウム投影機は、1億4000万個を超える星々を映し出し、最も多くの星を投影するプラネタリウムとして世界一に認定されています。
また、三重県の「神楽洞夢」では、4Kの高繊細プロジェクター5台による臨場感あふれる映像が広がり、立体的で異空間に飛び出すような感覚を体験することができます。
私は、世界に誇る「ものづくりのまち愛知・名古屋」だからこそ、本市の大きな魅力である本市科学館を、この機会に最新鋭の機器を導入し、名古屋の子どもたちに自分たちの住むまち名古屋の科学館、プラネタリウムのすばらしさをもっと実感してもらい、胸を張って「名古屋市の科学館・プラネタリウムはすごいよ」と言ってもらいたいと思います。同時に、もっともっと全国・そして世界に、そのすばらしさを発信していくべきであると考えています。

そこで提案として、名古屋市科学館の魅力をさらに高めることができるように、名古屋市科学館開館60周年を見据え、本市科学館のグランドビジョンを策定し、長期的な展望をもって、今後も多くの市民に愛され、名古屋の子どもたちが誇れる科学館となるよう取り組んでいくべきであると考えます。教育長のご所見をお願いいたします。


教育長

科学館は、毎年130万人もの多くの皆様にご観覧いただいておりますが、議員ご指摘のとおり、生命館開館から30年、理工館・天文館のリニューアルオープンから10年近く経ち、プラネタリウムの機器や展示内容の更新など、施設の充実や機能強化が課題となっております。

将来にわたって市民に愛され、名古屋の子どもたちが誇れる科学館であるためには、こうした課題に対して個々に対応していくのではなく、開館60周年を迎えようとするこの節目に、議員ご提案のような長期的な展望、いわゆるグランドビジョンをもって取り組んで行く必要があると認識いたしており、早期策定に向けて進めてまいります。

名古屋市科学館の機能強化について(2)

~ プラネタリウムを活用した学習機会の創出 ~

ともお

次に、「プラネタリウムを活用した学習機会の創出」についてです。本年8月、本市プラネタリウムの観覧者数は、ついに2000万人を突破しました。
本市プラネタリウムには、家族など個人での観覧だけでなく、観光客はもちろんのこと、団体、特に学校などから多くの子どもたちが観覧に来てくれています。
5歳児を対象とした幼児投影には、多くの幼稚園や保育所の子どもたちが、そして、小学校4年生や6年生を対象とした学習投影は、市内ほぼすべての小学校が観覧しており、子どもたちは、世界最大規模のプラネタリウムにおいて、学校では味わうことのできない貴重な体験をしています。

森ともお 私も教員時代、何度も子どもたちを引率してきました。当時の子どもたちの歓喜に満ちた表情は、今でも忘れられません。本市プラネタリウムを、学年を問わず、本市内外の小学生、さらには中学生の学習の場として活用することも有効であると考えます。
また、プラネタリウムの観覧者の内訳に目を向けると、高校生、大学生の利用はあまり多くありません。科学に興味をもち、将来、理工系の大学への進学や研究者となる進路選択をしたり、愛知・名古屋のものづくり関連企業への就職などにつなげたりするなど、もっと多くの高校生や大学生に来館してもらえるような工夫をすべきであると考えます。そのことが、さらに数多くのノーベル賞受賞者をこの愛知・名古屋の地から誕生させるきっかけにもなるのではないかと思います。
このようなプラネタリウムを活用した学習機会の創出について、教育長のお考えをお聞かせください。


教育長

プラネタリウムを小・中学生の学習の場として活用することについては、小学校の4年生・6年生を対象とした学習投影のほかに、学年にかかわらず子どもたちが楽しめたり、星空や宇宙に限らず、生命や環境などのテーマも迫力ある全天映像で学習できるような番組も検討してまいりたいと存じます。

高校生や大学生については、ぜひ科学館に足を運んで科学に興味を持っていただきたいと考えております。連携協定などにより高校や大学との連携を進めるほか、科学館で学んだ知識を生かしてものづくりの企業に就職したり研究者になることにつながるよう、学習機会を充実させてまいりたいと存じます。

名古屋市科学館の機能強化について(3)

~ 新たな学習機会の創出を(要望) ~

ともお

「学年にかかわらず子どもたちが楽しめたり、星空や宇宙に限らず、生命や環境などのテーマも迫力ある全天映像で学んだりできるような番組も検討する」とのご答弁をいただきました。
皆さんは、スパイダーマンやアイアンマンなど、マーベルシリーズで身長1.5センチのスーパーヒーロー、「アントマン」をご存じでしょうか。では1966年公開の映画「ミクロの決死圏」はいかがですか?

例えば、その映画のように、子どもたち自身が小さく小さくなって、プラネタリウムのドームに映し出された立体映像で、あたかも人体の中に入り込んで、体内を探検しているかのような映像など、天文以外の映像を映し出し、実際には体験できない世界を疑似体験することも可能になります。そのためにも、高性能プロジェクターをはじめとした機器の導入はもちろんのこと、魅力ある映像作成の必要性などについても、関係当局には十分にご理解をいただくよう強く要望させていただきます。

名古屋市科学館の機能強化について(4)

~ プラネタリウムの夜間活用(再質問) ~

ともお

グランドビジョンの策定について、教育長より、「開館60周年を迎えようとするこの節目に、グランドビジョンの早期策定に向けて進めていく」とのご答弁がありました。
先日、我が会派のうかい春美議員を委員長とする政審会のメンバーで名古屋市科学館プラネタリウムに視察に行ってまいりました。改めて、本市科学館・プラネタリウムのすばらしさを再確認するとともに、60周年を迎えるこのタイミングで、確実に名古屋市科学館の機能強化をしなければならないという思いを強くした次第です。
再度教育長に質問させていただきます。科学館では、現在も月に1回程度、午後18時30分からの夜間投影や、実際に星を観察する観望会などがあることは、皆さんもご承知の通りです。

森ともお 今後是非とも、グランドビジョンに盛り込んでいただきたい本市プラネタリウムの活用策の一つに、プラネタリウムの夜間活用があります。2027年にはリニア新幹線が開業し、名古屋に国内外からより多くの人々が訪れるようになります。こうした人々にとって、世界最大級のプラネタリウムは大変魅力的であり、夜に楽しむ場所の一つとして期待されるものと考えます。
しかしながら、科学館の現在の人員体制や一日中稼働させているプラネタリウム機器のメンテナンスなどの課題に目を向けると、週に何度も、しかも継続的に年間を通じて夜間活用を行うことは困難であると考えます。

そこで、提案ですが、科学館閉館後の夜間、世界に誇る本市プラネタリウムを有効に活用するために、プラネタリウムの機器更新に併せ、昼間と夜間とで機器を切り替えて運用できる仕組みを構築してはいかがでしょうか。この仕組みが実現すれば、夜間や休館日のプラネタリウムにおいて、先日即日完売したクイーンのレーザーショーや科学館50周年の際に開催したコンサートなどを、随時開催できるようになります。教育長の見解をお聞かせください。


教育長

現在のプラネタリウムの機器は、学芸員が生解説により天体の動きなどを細かく操作するため、専門の学芸員や技術者でなければ操作できない複雑な仕組みとなっております。

議員ご指摘のとおり、プラネタリウムの夜間活用を今後行っていくためには、学芸員が立ち会うことなく機器を操作できるよう、例えばボタン1つで予めプログラムされた星空や映像が投影されるといったような新たな仕組みの実現に向けて検討してまいりたいと存じます。

名古屋市科学館の機能強化について(5)

~ 子どもたちに夢を与え、子どもたちが誇りに思う科学館に(要望) ~

ともお

教育長から、「プラネタリウムの夜間活用を今後行っていくために新たな仕組みの実現に向けて検討する」とのご答弁をいただきました。この時期ですので今のご答弁が限界なのであろうと理解します。
しかし、市長、この仕組みが実現すれば、科学館閉館後の夜間や、さらに言えば、休館日のプラネタリウムについては、民間委託を行うなど、民間活力を活用し、楽しく迫力あるプログラムを子どもたちはもちろん、市民、そして、観光客の皆さんにも提供することができるようになります。
その際には、是非とも、本市の子どもたちは、無料で観覧できるようにしていただきたいと思います。時間がありませんので質問しませんが、市長にも是非とも応援していただきたいと思います。

最後になりますが、ものづくり愛知・名古屋だからこそ、子どもたちに夢を与え、子どもたちが、誇りに思うことができるような名古屋市科学館の機能強化を確実に進めていただくことを切にお願いし、私のすべての質問を終わります。

MoriTomoo

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