令和2年11月定例会 個人質問2020/12/01
11月定例会で、質問をいたしました。
シェアサイクルの活用について(1)
~ 名古屋のまちにおける回遊性の向上を目指して ~
森
ともお
本市には、名古屋城や熱田神宮をはじめ、大変多くの魅力的な観光名所や文化財、さらには、本市の観光目的として人気の高い、なごやめしの名店などがあります。
しかしながら、数多くある本市の魅力あるそれらの場所を、地下鉄や市バス、鉄道、観光ルートバス「メーグル」を利用しても、それらを簡単に巡ることができないのが現状であると思っています。この現状を改善するためには、名古屋のまちにおける回遊性の向上が大変重要です。
私は、回遊性の向上を含めた観光推進に向けた最も有効な手立ての一つがシェアサイクルであると思っています。
さて、本市における自転車に関わる施策について振り返りたいと思います。今から、約10年前の平成21年から2年間、まちの賑わいの創出、放置自転車の削減、CO2排出量の削減などをコンセプトに、名チャリの社会実験が行われました。
その結果、翌年の平成22年には、名古屋市観光戦略ビジョンが策定され、その当時、その中で、「観光客の回遊性の向上や環境に配慮した交通手段として期待されるコミュニティサイクルの導入を進める」としました。
また、平成23年には、「なごや新交通戦略推進プラン」や「名古屋市自転車利用環境基本計画」が策定、その後、平成26年に策定された「なごや交通まちづくりプラン」では、回遊性が高く、賑わいのある都心を形成していくために、コミュニティサイクル導入に向けた環境整備に取り組み、移送手段の多様化を図るとの提言がなされました。
しかしながら、以降、コミュニティサイクルの導入は進まないまま数年が経ちました。そしてようやく、本年4月に、名古屋城や名古屋市役所、納屋橋では、社会実験としてシェアサイクルの公共コミュティサイクルステーションが設置されるとともに、市内中心部を中心に民間事業者3社が、ホテルや飲食店などと連携し、シェアサイクル事業を行っています。
私は、本市の観光魅力軸である名古屋城から熱田の地域においてシェアサイクルを、とりわけ名古屋城と併せて、本市における来場者数が最も多い熱田神宮がある熱田、そして、交通結節点であり、名古屋駅に次いで、地下鉄・名鉄・JRと乗降客数が多い金山総合駅周辺地域にシェアサイクルを広めるべきと考えます。
さて、熱田には、熱田神宮はじめ、名古屋国際会議場や白鳥庭園、宮の渡し公園や本日から発掘調査がスタートする断夫山古墳、大型商業施設、なごやめしの名店など、挙げればきりがないほどシェアサイクルがあれば回ってみたいなという場所が多く点在しています。
今年の8月には、民間事業者によるステーションが大須、さらには熱田区内にも開設され、11月には2つ目か設置されるなど機運も高まってきており、シェアサイクルを活用するチャンスではないでしょうか。
そこで、まず、観光推進に向けたシェアサイクルの活用について、観光文化交流局はどのような認識をお持ちなのか教えてください。
次に、公共のステーションを設置することでシェアサイクルの熱田への導入を支援できないかと考えます。社会実験など、シェアサイクルの導入に関して取り組みを行っている緑政土木局長の見解をお聞かせください。
観光文化
交流局長
シェアサイクル事業につきましては、平成28年度に設置されたワーキンググループにおきまして、観光文化交流局といたしましても、緑政土木局を中心とした関係各局と連携して検討を進めてまいりました。
今年度は、まちの回遊性向上、CO2の削減、健康増進などに加え、観光推進という観点からも効果を発揮できるようなシェアサイクル事業の運営を行うための支援策について検証するため、当局との連携のもとに緑政土木局が公共用地を活用した公共シェアサイクルステーションの社会実験を行っているところでございます。
シェアサイクルにつきましては、観光客の移動の利便性や回遊性の向上などの観光推進に対する一定の効果が期待されますので、当局といたしましては社会実験の結果を踏まえ、どの程度効果があるのかをしっかりと見定めてまいりたいと考えております。
緑政土木
局長
シェアサイクルには自転車の所有から共有への転換による放置自転車等の台数削減の効果が期待できることから、緑政土木局では、都心部の放置自転車対策として「民間主体によるシェアサイクルの導入」に取り組んでいます。
現在、栄から名駅にかけての都心部エリアを中心に、民間事業者3社が事業を展開しており、自転車需要の高まりや各事業者のご努力により、利用者は順調に増加しております。
当局は、観光文化交流局と連携のうえ、民間事業者との協定のもと「公共コミュニティサイクルステーション」の社会実験を実施しています。
この実験の状況や、各事業者へのヒアリング等によりますと、シェアサイクルの運営には、個々の目的地よりも、まずは人々が行き交う交通の要所にシェアサイクルのステーションがあることが重要であることが分かってまいりました。
また、期待する効果を発揮するためには、シェアサイクルのさらなる普及が必要と認識しています。
熱田地域は既にステーションが展開されている都心部エリアと接続できる地域であり、事業者の参入意欲もあることから、本市の支援により、シェアサイクルのさらなる普及が見込める場所ととらえています。
まずは、シェアサイクル普及の呼び水となる金山総合駅のような交通の要所に、各事業者が利用できるような公共のステーションを適切な時期に設置してまいりたい。
シェアサイクルの活用について(2)
【再質問】~ バンクシー展に合わせてサイクルステーションを開設できないか ~
森
ともお
観光文化交流局長から「シェアサイクルについて、移動の利便性や周遊性の向上などの観光推進に対する効果が期待される」というご認識が示されました。
一方で、「社会実験の結果を踏まえて効果を見定めたい」とのご答弁でしたが、現在の社会実験の範囲は、おおよそ、市内中心部いわゆる本市の観光魅力軸のほんの一部に過ぎず、移動の利便性や回遊性の向上という観点でのシェアサイクルの効果を見定めるには不十分ではないかと考えます。
また、緑政土木局長から「金山総合駅のような交通の要所に、適切な時期に公共コミュニティサイクルステーションを設置したい」とのご答弁がありました。
金山総合駅と言えば、2月に金山総合駅南口にある旧ボストン美術館でバンクシー展が開催されることが決定しました。その反響は大きく、2月以降、より多くの方が金山総合駅に来ていただけると思います。
そこで、バンクシー展の開催に合わせ、金山総合駅で公共コミュニティサイクルステーションを開設できないものでしょうか。再度、緑政土木局長にお訊ねいたします。
緑政土木
局長
シェアサイクルの様々な効果を見定めるために、金山総合駅のような交通結節点にあるステーションの利用状況を検証することは、必要なことだと考えております。
検証にあたり、シェアサイクルは、多数のステーションが一定の密度で展開されることが利便性の点で重要であり、各事業者による事業展開の時期と公共ステーションの開設は歩調を合わせる必要がございます。
一方、多くの来場者が見込まれるイベント開催の機会等をとらえてステーションを設置すれば、多くの人の目に触れることになります。
そうすれば、シェアサイクルの認知度を向上させることができ、利用のきっかけを提供できることから、普及にも効果的と考えております。
これまでの取り組みや事業者の意向も踏まえて利便性の高い公共ステーションを、バンクシー展の開催等に合わせて金山総合駅に設置できるよう、準備を進めてまいりたい。
シェアサイクルの活用について(3)
【要望】~ 公園、地下鉄出入口、商店街等にもステーション設置を ~
森
ともお
緑政土木局長より、「利便性の高い公共ステーションを、バンクシー展の開催に併せて、金山総合駅に設置する」とのご答弁がありました。バンクシー展の開催、すなわち2月の公共ステーション設置とのご答弁、ありがたく思います。
年度内には、民間事業者によるステーションがさらに増えるということもお聞きをしています。今後、緑政土木局におかれましては、観光文化交流局はじめ関係局としっかりと連携を深めていただき、さらなる移動の利便性や回遊性の向上、そしてまちの賑わいの創出に向けて、例えば熱田区で言えば、宮の渡し公園のような観光に資する公園や地下鉄出入口、商店街や商業施設周辺の道路にもステーションの設置をする方向で、検討をすることを強く要望させていただきます。
また、私は、今回、回遊性の向上を含めた観光推進という観点から質問をさせていただきましたが、シェアサイクルは、冒頭の緑政土木局長のご答弁にもありましたが、本市の大きな課題である「放置自転車対策」という点で、大きな可能性があると思います。先日、本市の放置自転車についての新聞報道もありましたが、今後、熱田のみならず、本市において、行政と民間との共同で、今述べたようにステーションを増やすことで、観光推進のみならず、放置自転車の台数削減も向けて、ご尽力いただくことを切にお願いし、この質問をおわります。
学校司書の全校配置について(1)
~ 学校図書館の活用で本市教育の一層の充実、子どもの居場所づくりの確保に ~
森
ともお
読書は、子どもたちの豊かな人間性を形成していく上でも非常に有効です。特に、子どもへの絵本の読み聞かせの意義については、ここで言うまでもないことであると思います。
しかし、実際、子どもが読書をする機会が減ってきていることは、毎年行われている読書調査によっても明らかになっています。インターネットなどの普及、携帯やスマホをもつ子どもが増えたこともその一因と言えるでしょう。
さて、今から5年前、平成27年、「学校には、司書教諭のほか、専ら学校図書館の職務に従事する職員(いわゆる学校司書)を置くよう努めなければならない」とする改正学校図書館法が施行されました。
私は、同年11月定例会本会議において、学校司書の配置について質問をさせていただきました。その結果、平成29年には16名の学校司書が配置され、本年度には、70名の学校司書が配置されるに至っています。昨年度からは、学校司書の近隣校への巡回派遣も始まりましたが、学校司書の配置については、まったく不十分だと考えます。
私は、学校司書の人員確保の課題や巡回派遣をする上でのメリットやデメリットもお聞きをしています。しかし、やはり最も改善すべきは、同じ名古屋市の学校なのに、ある学校には学校司書が配置されていて、その学校に通う子どもたちは、その司書さんのおかげで、より本に親しむ環境が整備され、本が好きになるが、しかし、配置もしくは巡回すらない学校の子どもたちはそれらの機会を与えられていないことだと、私は思います。
したがって、まずは、少なくとも巡回派遣も行いながら、学校司書が全小中学校で活動できるようにすることが必要不可欠であると考えています。
学校司書が配置されている学校の教職員や保護者の方からのお声をご紹介すると、「担任と協力して学習に必要な図書を選定・準備することによって、授業が活性化し、子どもが意欲的に学習するようになった」また「子どもからの読書相談を受けたり、子どもの興味関心にそった本を薦めたりすることで、多くの子どもが本に親しむことができるようになった」また「学校司書さんが薦めてくれた本のお陰で、子どもが本を大好きになった」また「親である自分も再び本を読むようになった」などの声を聞いています。
一方で、学校図書館は様々な子どもの居場所にもなっています。とりわけ、現在は、コロナ禍でこれまで以上に多様化した悩みを抱える子どもたちが増えています。そんな子どもたちの中には、学校司書のおかげで、困ったことを相談したり、安心して本の世界にひたったりするなどできる子もおり、このことは大変意義があることだと思います。
ある学校の校長先生にお聞きしたところ、約80人の学年の児童の内、10名の子が、悩み事を聞いてもらったり家のことを相談したりなどの実態もお聞きしました。
にこにこした笑顔で子どもたちを迎えてくれる学校司書がいる学校図書館は、様々な悩みを抱え、なかなか自分の教室に入ることができない子どもたちの居場所という意味においても、今後、その存在は、ますます重要なものになると思っています。
そこで、教育長に質問させていただきます。
学校図書館の活用を進め、本市教育を一層充実させていくためにも、また、安らぐことができる子どもの居場所づくりの確保のためにも、まずは、来年度ただちに、巡回派遣を行いながらでも学校司書が全小中学校で活動できるようにすべきと考えます。教育長のご見解をお聞かせください。
名古屋市
教育長
令和2年度は、70校に学校司書を配置し、近隣の小中学校134校に巡回派遣を実施しております。全体としては、371校中204校で学校司書が活動を行っております。
配置校や巡回派遣校によりますと、学校司書による掲示物やレイアウトの工夫で、親しみやすい学校図書館になっているようです。
また、本の読み聞かせをしたり、図書委員会と共に活動したりすることで、来館者数や本の貸出数が増えるなど、児童生徒の読書活動への意欲が高まっていると聞いております。
一方、授業で活用する本の紹介など、教員が授業を行う際に、学校司書の支援や協力を得られている例も見られるとのことでございます。さらに、学校司書による居心地のよい学校図書館づくりによって、児童生徒が心を落ち着かせることのできる居場所としての役割も果たしていると聞いております。
このように、学校司書の意義は大きいものと認識しております。来年度、学校司書配置校と巡回派遣校を拡大することにより、まずは、希望する全小中学校で、学校司書が活動できるよう努めてまいります。
学校司書の全校配置について(2)
【要望】~ 本市すべての子どもたちにという視点で、学校司書の全校配置を~
森
ともお
教育長から、「来年度、学校司書と巡回派遣校を拡大することにより、まずは、希望する全小中学校で、学校司書が活動できるよう努める」とのご答弁がありました。
この時期のご答弁ですから、「努める」とのご答弁に秘めた思いは十分理解をさせていただきますが、しっかりと結果として、希望する全小中学校で、学校司書が活動できるような配置を実現していただくようお願いします。
ただ、そのためには人材の確保が必要になります。そこで、今の学校司書の任用条件の緩和も視野に入れた検討も何卒お願いいたします。
ここで、全国の政令指定都市の学校司書配置状況について述べます。以前私が本件について質問をさせていただいた平成27年は、20政令市の内、半数の10政令市において、すべての学校に司書が配置されていました。あれから5年経った現在では、4市増え、20政令市中、すでに14市で全ての小中学校に学校司書が配置されています。
本市の規模は大きく、当然、一つの施策をすべてにいきわたらせるためには、大きな予算がかかります。本件についてもしかりです。一方で予算には限りがあることも事実です。しかし、予算が限られているからという大人の勝手な事情により、名古屋のいくつかの限られた学校、すなわち限られた子どもたちだけが、整備された学校図書館で、自由に行くことができるということでは、公教育の役割を果たしているとは到底言えません。
今後、自分の教室に入ることを躊躇してしまうが、学校図書館なら通うことができるという子や、休み時間、本の世界に浸ることでこころの安定を図ることができる子どもの居場所としての学校図書館の可能性を考えても、やはり、名古屋市すべての学校の図書館に学校司書の配置が必要だと思います。本件については、間もなく始まる不登校に関わる有識者懇談会等において議論をしていただけるとよいと思います。
どうかそのような可能性も視野に入れ、教育長だけでなく教育委員会所管の廣澤副市長・そして、河村市長、どうか、本市のすべての子どもたちにという視点に立ち、今後、学校司書を全校配置していただくことを強く要望し、本件についての質問は終わります。