令和3年2月定例会 個人質問2021/03/08
2月定例会で、質問をいたしました。
熱田神宮・宮の渡し周辺地域の魅力向上について(1)
~ 地下鉄駅の名称変更を契機に ~
森
ともお
私は、本市名古屋市は、本当に魅力的な名所が数多くあるまちであると思っています。名古屋城・名古屋市科学館・東山動植物園・熱田神宮・名古屋港水族館など、あげればきりがありません。
しかしながら、一方で、本市、そして、愛知県は、自動車をはじめとした「ものづくり産業」のまちでもあります。
名古屋港の貿易黒字額は、平成10年から継続して全国第一位であることは言うまでもありませんが、かつて、経済発展に重きをおいてまちづくりが行われた結果、例えば、この熱田神宮の南に位置する旧東海道は、国道19号線で分断されてしまいました。
皆さんにこんなことを尋ねたら、叱られるかもわかりませんが、現在、熱田神宮には、名鉄神宮前駅からすぐの東門、そして、地下鉄神宮西駅から南下したところにある西門、さらに、地下鉄伝馬町駅からすぐのところにある南門。さて、このうち、熱田神宮の正門とは、どの門になるでしょうか。
そうです。南門が熱田神宮の正門です。かつて旧東海道を旅する人々が、旅の途中で熱田神宮に立ちより、この宮の渡しから、東海道唯一の海路を命がけで桑名まで船で渡ったというロマンあふれる歴史があります。しかし、現在は、旧東海道から熱田神宮正門に至るこのルートも、国道1号線で分断されてしまっています。
名古屋といえば、名古屋城。そして、名古屋の観光魅力軸に位置し、三種の神器の一つ「くさなぎのみつるぎ」をまつる熱田神宮です。この熱田神宮が本市で最も人が多く訪れる場所であることは、皆さんもご承知のとおりです。
森
ともお
さて、そろそろ本題に入ります。市民の身近な足として愛される市営地下鉄においては、現在の駅名を、より多くの方々に、分かりやすい駅名にするため、令和元年8月から、地下鉄駅名称懇談会のもとで駅名変更の議論が行われてきました。
本年1月には、同懇談会で4つの駅名変更案がまとめられ、それを受け、交通局では、令和5年1月を目途に、名城線の市役所駅を名古屋城駅へ、伝馬町駅を熱田神宮伝馬町駅へ、神宮西駅を熱田神宮西駅へ、桜通線の中村区役所駅を太閤通駅へ変更することを決定しました。
その中でも、伝馬町駅から熱田神宮伝馬町駅へ変更されたことは、地元住民、とりわけ「白鳥学区の皆さん」や「あつた宮宿会」の熱い想いが地元の総意となり、懇談会においても有識者の皆さんの間で熱い議論交わされ、行政を突き動かし、結実した結果であり、地元の皆さんとともに活動してきた私としても、大変感慨深い思いです。とりわけ、伝馬町という名称をなくしたくない、という多くの地域の皆さんの思いには、感動すら覚えました。
今回の駅名変更は、従来の地名変更によるものと異なり、「観光」「おもてなし」という視点が大きく取り入れられたものであり、それ自体、本市としては大変画期的なことであると思います。ただ、一方で、単に地下鉄駅の名称が変わったからといって、それだけで自動的に、そのエリアの魅力が向上するわけでもないし、観光客が増えるわけでもありません。
熱田神宮・宮の渡し周辺地域の魅力向上について(2)
~ 駅名変更を、周辺地域の魅力向上や雰囲気づくりに取り組む契機に ~
森
ともお
私は、この地下鉄駅の名称変更を契機に、あるいは1つの起爆剤として、より一層、熱田神宮・宮の渡し周辺地域の魅力向上につなげていかなければ意味がないと思っています。
そういう意味では、駅名変更はゴールではなく、むしろ、スタートラインとして捉えるべきであろうと考えます。
繰り返しになりますが、当地域は、昨今は新型コロナ感染症の影響で落ち込みが見られるものの、年間700万人以上の方が訪れる熱田神宮、そして、東海道随一の宿場町であった宮宿跡、東海道唯一の海路であった宮宿と桑名を結んだ七里の渡しなど、魅力的な名所・観光資源が、あまた広がっています。
そして、この地域では、学区連絡協議会や「熱田神宮駅前地区まちづくり協議会」と「宮の渡し・大瀬子地区まちづくり協議会」の二つのまちづくり協議会もあります。
そして、あつた宮宿会、NPOの堀川まちネットを始め、熱田をこよなく愛する地元の皆さんが、「いま一度熱田を盛り上げたい」「歴史・文化のまち熱田の魅力を伝えたい」「子どもたちに継承したい」など、さまざまな思いを胸に、毎月恒例となった「あつた朔日市」の開催をはじめ、区内すべての小学校等への出前紙芝居事業、まちづくりビジョンの策定、定期的な学習会の開催、清掃活動等、これまで、地域が一丸となって活動を進めてきています。
こうした、このエリアが持つ大きなポテンシャルに比して、「観光」という切り口で見たときの街の雰囲気づくり、“おもてなし感”は、残念ながらゼロに等しいといっても過言ではありません。
例えば、熱田神宮の正門にあたる南門の最寄り駅であると同時に、東海道随一の宿場町跡であった宮の渡しの最寄り駅でもある現地下鉄伝馬町駅。地下鉄改札口を出て、駅の出入口を降り立ち、周辺エリアを歩いたとしても、かつてにぎわった熱田神宮の門前町や熱田湊の面影を見出すことは難しいというのが現状です。
熱田神宮や宮の渡し公園など、当然、現地まで足を運べば、実感は湧きますが、全国の名だたる観光地は、そもそも観光客が最寄り駅に降り立った瞬間から、目的地に来たことを実感できる仕掛けづくり、空間演出を行っているものではないでしょうか。
森
ともお
なかなか一足飛びというわけにはいかないとは思います。先日の服部議員も熱く語っていたように、ことを成し遂げるには、年月がかかることもあるでしょう。しかし、私たちは、未来を担う子どもたちのために懸命に頑張る地域の熱を原動力に、夢や理想を掲げずにはいられないのです。私は、今回の駅名変更を、魅力向上や雰囲気づくりに官民一体で取り組んでいく、大いなる契機にすべきと考えます。
現在の伝馬町駅の改札を出た付近、その先の階段、伝馬町駅の1番出入口。地下鉄駅一つとっても、熱田神宮の門前町や熱田湊の面影はまったくありません。
一方で、現在の市役所駅の階段、名古屋城に最も近い市役所駅の出入口。このように、もしくはこれ以上に、「熱田神宮西駅」と「熱田神宮伝馬町」の地下鉄駅から雰囲気づくりをしていってはと思うのです。
そこで、観光文化交流局長に質問させていただきます。熱田神宮・宮の渡し周辺地域における魅力向上や雰囲気づくりに向けた第1歩として、まずは、駅名が変更される令和5年1月に合わせ、同地域の玄関口となる現地下鉄伝馬町駅において、熱田神宮や宮の渡しの歴史・文化の香りを感じることができるよう、改札口付近から通路、階段、出入口に至るまで、同地域に関連した装飾・デザイン演出を行ってはどうかと考えます。ご所見をお願いします。
観光文化
交流局長
観光文化交流局では、平成30年度に策定した名古屋市観光戦略において、熱田地区を重点エリアに位置づけており、「熱田神宮」や「宮の渡し」といった豊富な観光資源を活かし、関係機関や地域団体と連携しながら、エリア全体の魅力向上に取り組むこととしております。
今回、熱田神宮・宮の渡し周辺に立地する地下鉄伝馬町駅及び神宮西駅が、全国的に知名度の高い「熱田神宮」を冠する駅名へと変更されることは、本市が観光を推進する上でも起爆剤になると考えております。
観光文化交流局といたしましても、今回の駅名変更をチャンスと捉え、地元の皆様とも連携しながら、より一層の魅力向上や雰囲気づくりに取り組んでいく必要があると認識しております。
議員ご提案の地下鉄伝馬町駅における装飾につきましては、過去に名古屋城本丸御殿の完成公開に合わせ、地下鉄市役所駅において名古屋城に関する装飾を行った事例を参考としながら、駅名が変更される令和5年1月の完成に向けて、地元の皆様や関係局と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
熱田神宮・宮の渡し周辺地域の魅力向上について(3)
【要望】~ 駅から熱田神宮正門に至るルートの雰囲気づくりについても検討を ~
森
ともお
観光文化交流局長より、「伝馬町駅の装飾について、駅名が変更される令和5年1月の完成に向けて、取り組むという」明快で力強いご答弁をいただきました。
この質問に先立ち、昨年12月に、熱田区の白鳥学区連絡協議会、先ほど触れさせていただいた、ふたつのまちづくり協議会、あつた宮宿会の4団体から、「熱田神宮・宮の渡し周辺地域の魅力向上について」との要望書を観光文化交流局長、そして、交通局長に提出させていただきました。
その想いが、両局長に届いたものと、大変うれしく思います。未だ新型コロナ感染症の影響が先の見えない状況ではありますが、今後を見据え、観光文化交流局、交通局、熱田区役所、地域の皆さん、それぞれの連携・しっかりとした合意形成をもって、令和5年1月を目指し、まずは、今回取り上げさせていただいた、現地下鉄伝馬町駅における、装飾・デザイン演出の実現を何卒よろしくお願いします。
加えて、先ほど述べた要望書に記載をさせていただいている、現地下鉄神宮西駅の装飾及び、地下鉄伝馬町駅から熱田神宮正門に至るルートの雰囲気づくりについても、本市として、何をすべきかを現段階からご検討いただくことをお願いし、本件については終わります。
地域日本語教育の体制づくりについて(1)
~ 日本語教育の推進に関する法律の施行を受けて ~
森
ともお
平成30年12月の「出入国管理及び難民認定法」の改正による新たな在留資格創設や昨今の少子高齢化、働き手不足の状況等を契機とした外国人市民の増加が見込まれる中、令和元年6月には日本語教育を受けることを希望する外国人等に対し、その希望、置かれている状況及び能力に応じた日本語教育を受ける機会が最大限に確保されるよう行わなければならないことなどを基本理念とする「日本語教育の推進に関する法律」が公布・施行されたところです。
この法律の中で、日本語教育の推進に関し、地方公共団体が地域の状況に応じた施策を策定し実施する責務を有すると規定されるなど、地方公共団体に対して大きな役割が求められていると言えます。
一方、生活者としての外国人に対する支援の観点から、昨年の2月定例会での我が会派の山田議員の本会議質問において、本市の地域日本語教育における様々な課題について指摘いたしました。
市域における日本語教室の絶対数の不足や、教室が存在しない空白区の問題、指導者であるボランティアの高齢化に伴う人材の不足、仕事等の時間的制約により教室に通うことがかなわない外国人市民への対応など多くの課題があり、所管である観光文化交流局からは、解決を目的とした取組みの実施にあたり前向きな答弁がなされたところです。
あわせて、局長の答弁の中では、本市が令和元年度から文化庁の補助金を活用し、地域日本語教育体制づくり推進事業に取り組んでいることが触れられ、今年度は有識者等と調整し、今後実施する具体的な事業の検討を行うとのことでした。
今年度については、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、3密回避の観点から、日本語教室も休止等の措置を余儀なくされ、開催の継続が大きな課題になりました。対面での開催が困難なことから、オンラインを活用しての開催を模索された教室もあるものの、慣れないオンライン操作や対面と異なる学習方法等に教室を運営されているボランティアの方たちも大変苦労されたそうです。
このように、多くの日本語教室が困難に直面する中、これまで通りの活動ができない状況であったと聞き及んでいます。昨年度の実態調査によって浮き彫りとなった課題への対応はもちろんのこと、コロナ禍により新たに生じた課題についても、市としてしっかりと対応していく必要があります。
そこで、観光文化交流局長に伺います。新型コロナウイルス感染症拡大という大きな社会情勢の変化を受け新たな課題も生じてくる中、本市としてどのように地域日本語教育に取組み、課題解決を図っていくつもりなのか。お聞かせください。
観光文化
交流局長
本市では、外国人市民が生活に必要な日本語の学習環境や仕組みを整えていくための基本的な考え方等をとりまとめた「名古屋市地域日本語教育推進の考え方」を昨年度に策定いたしました。
今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大により実施が困難な取組みもあったものの、日本語教室のオンラインでの開催手法を学ぶ研修会等を実施し、所管省庁の文化庁からも一定の評価をいただいたところです。また、本会議でご指摘いただいた課題について地域日本語教育に係る総合調整会議やコーディネーター会議の場で、今後実施すべき取組みについて検討してまいりました。
具体的な取組みとしては、来年度、「日本語教室と外国人学習者、ボランティアをつなぐプラットフォームとなる検索サイトの構築」を予定しております。これは、学習者が自分の生活に合わせて学習できる日本語教室を探したり、日本語教室がボランティアの募集に活用したり、逆にボランティアの方が自分の活躍できる教室を探すときに活用していただき、「ボランティアの担い手不足」解消や「外国人市民のライフスタイルに合わせた教室探し」に資することを目標として実施するものです。
あわせて、「考え方」の中では課題解決にあたり、地域、大学や企業などの多様な主体との連携に重点を置いていることから、「関係機関と連携した新教室の立ち上げ」及び「名古屋市立大学と連携した日本語教室へのインターンシップの派遣」といった連携事業によりまして、「日本語教室数の増加」や「担い手の確保」に取り組んでまいりたいと考えております。
また、議員ご指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本語教室を取り巻く環境に厳しさが増していることを受け、本市としても教室へのさらなるサポートが必要であると認識しております。
来年度の取組みの一つである「本市主催によるオンラインを活用した日本語教室の実施」は、教室を運営するボランティアからオンラインでの開催が難しいとの声を受けたことから、本市が先導的な役割を果たして地域日本語教育を推進していくために実施するものです。
本市としては、国籍や民族の異なる人々が、互いの文化的な差異を認め合い、対等な関係を築きながら、地域社会の構成員として共にしあわせに生きていくことができる多文化共生社会の実現を目指しております。そのため、外国人市民が地域の一員として様々な活動に参加し、日本人市民とともに名古屋で活躍できる生活基盤づくりが必要であることから、その柱とも言える地域日本語教育を着実に進めてまいります。
地域日本語教育の体制づくりについて(2)
【再質問】~ これまで以上に積極的な姿勢を~
森
ともお
観光文化交流局長から、今年度に新しく現れた課題への対応も含め、地域日本語教育の推進に関し前向きなご答弁をいただきました。
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う移動制限等により、外国人の来日がかなわないことなどから、一時的に外国人市民の人数は減少していると聞いております。
しかしながら、長期的に見れば、冒頭に申し上げた関係法令の改正等を背景に、外国人の人数は新型コロナウイルス感染症の終息後には、再び増加に転じるものと予測されており、長年、地域日本語教育に取り組まれている日本語教室の役割も一層重要なものになることが予想されます。
一方、日本語教室は、ボランティアによって運営されていることなどから、将来的な継続性などに不安を抱えていることもあり、ともに地域日本語教育を進める本市としては、サポートや推進体制の構築など、地域日本語教育に対してこれまで以上に積極的な姿勢が必要だと考えます。
そこで、観光文化交流局長に再度お尋ねします。本市が日本語教室とともに地域日本語教育を推進していくにあたり、先頭に立って事業を推進していく局長としてどのような決意で臨まれるのかご答弁をお願いします。
観光文化
交流局長
議員ご指摘のとおり、外国人市民の人数は新型コロナウイルス感染症に伴う一時的な減少はあるものの、今後も増加していくと予想され、それに伴い将来的には日本語教育を必要とする外国人市民も増加するものと想定しています。
増加する外国人市民に対応するためには、先ほど答弁いたしました生活基盤づくりを一層推進する必要がございます。そのためには、外国人市民と日本人市民がコミュニケーションを取れるようになることが必要であり、外国人市民に生活に必要な日本語を学習する機会を提供する日本語教室は大変重要であることから、今後もその機会を着実に増やしていきたいと考えております。
また、日本語教室は、外国人が日本語を学ぶ場であるだけではなく、地域における外国人の居場所という役割も担っており、地域の日本語教室という大切な場所を提供していただいているボランティアの皆様の重要性は、今後も変わらないものと認識しております。
本市といたしましては、ボランティアによる日本語教室の活動に寄り添いながら、名古屋市として主体的に、(公財)名古屋国際センターや区役所はもちろん地域、企業や大学等の多様な主体と連携し、地域日本語教育の体制づくりを着実に推進していくとともに、現在、名古屋大学と留学生及び、本市が連携して行っている母国語での情報発信など多様な施策によって多文化共生社会の実現を目指してまいる所存でございます。
地域日本語教育の体制づくりについて(3)
【要望】~ さらなる支援拡充と日本語学習機会の増加について、速やかに検討を ~
森
ともお
本市として日本語教室に寄り添うとともに、関係機関との連携のもと、主体となって地域日本語教育に取り組むという局長の前向きな決意を聞かせていただきました。
本事業の到達点としては、生活に必要な日本語を学びたいと希望する生活者としての外国人市民が一人も取り残されず、かつ、将来にわたって持続可能な地域日本語教育の体制を構築することであると考えます。
その実現のためには、現在ご尽力いただいているボランティアのお力だけでは限界があり、本市としても地域日本語教育に一層踏み込んでいく必要があります。
局長のご答弁にあった前向きな決意をより具体的なものにしていくため、協働してくださる日本語教室へのさらなる支援拡充と、本市主導による関係機関と連携した日本語学習機会の増加について、今後速やかに検討を行っていただきますことを強く要望し、私のすべての質問を終わります。ありがとうございました。