令和6年2月定例会 代表質問(4/7)2024/03/05
2月定例会で、代表質問をいたしました。
買物弱者支援の取組について
買物弱者支援の取組について(1)
森
ともお
全国的な少子高齢化が進展する中、特に単身高齢者の中には、近くに商店がなく、ご自身だけでは食料品などの日常生活に必要な物品の購入に苦労するという方がお見えになります。
このような方々は「買い物弱者」と呼ばれますが、法などにより統一的な定義はなく、経済産業省では「流通機能や交通網の弱体化とともに、食料品などの日常の買物が困難な状況に置かれている人々」、また、農林水産省では「最寄りの食料品店まで500メートル以上離れ、車の運転免許を持たない人」と定義しています。
経済産業省が発表した「買物弱者・フードデザート問題等の現状及び今後の対策のあり方に関する報告書」では日本全国の買物弱者数は約700万人程度となり、その数は増加傾向にある。」とされています。
実際、本市においても例外ではなく、 経済センサスによりますと市内の飲食料品小売業の事業所数は、平成28年は約4600、令和3年は約4000と5年間で約600、割合では約13%減少しています。
私たちも、市民の皆様から日常的に、買い物に対する困難や不安の声を多く耳にしており、もはや買物弱者への支援は待ったなしの状況です。
買物弱者に対しての具体的な支援策としては、経済産業省が策定している「買物弱者応援マニュアル」の中で、宅配サービス、買物代行、移動販売、移動手段の提供などが挙げられていますが、個別の取組みにおいて、民間事業者の協力を得るにしても、採算を確保した上での継続はハードルが高いものもあると考えられます。
そこで他都市では買物弱者支援事業の一環で、民間事業者と連携し、事業における赤字損失分を補助する取り組みや、商店街などが行う宅配サービス、移動販売等について、事業者に対して補助を実施するなど、様々な取り組みが広がっています。
特に移動販売については、高齢者が実物を見て購入できることや、そこで会話ができるなど、地域住民の交流の場になり、孤立化を防ぐことができるというメリットもあり、有効な手段だと思います。
名古屋市においても、買物支援に対するニーズが、より高い地域を明確化することにより、個別具体的な支援に繋がります。さまざま事業者が各種ニーズに合った支援策を提供することにより、民間事業者や商店街の宣伝効果にもなり、新たなビジネスチャンスに繋がる可能性もあると考えます。
そこで経済局長にお尋ねします。
買物弱者へ、より個別具体的な支援を行うためにも、ニーズの高い地域においては事業者とのマッチングや、マーケティングが重要であり、採算確保が難しい移動販売などには支援を実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
また、高齢者にとって買い物は外出機会の多くを占めており、スーパーや大規模商業施設に出掛け、より多くの商品の中から自分で選べるということが、生活をする上での楽しみの一つになり、また、生きがいにも繫がると考えられます。
そこで住宅都市局長にお尋ねします。
交通空白地におけるデマンド交通の活用を検討するとのことですが、公共交通空白地だけでなく、買い物に不便を感じており、地域のニーズがある場所においては、既存の公共交通に加え、新たな移動手段の提供が必要であると考えますがどのようにお考えでしょうか。
次に健康福祉局長にお尋ねします。
ただいま経済局、住宅都市局に対し提案をした、買い物弱者に対する支援策を検討していくためにも、買物弱者の実態を調査し、地域毎のニーズを把握することが重要だと考えます。
実態調査については、経済産業省が策定している「買い物弱者応援マニュアル」の中で、青果、鮮魚、精肉を取り扱う店舗を中心とした半径500mから1kmの円外に居住する、単身または2人暮らしの65歳以上の高齢者を推計し、買い物弱者を「見える化」する「買い物弱者マップ」の作成について紹介されており、既に作成している自治体もあります。
本市においても、まずは市内全域を対象とした買物弱者マップを作成し、 買い物が困難であると思われる地域住民に対するアンケート調査の実施や、地域の状況を把握している地域団体、また地域住民の状況を知る民生委員等に対するヒアリングを通じて、今後市が支援を検討する上で必要となると思われる、誰が、どこで何を困っているのか、どのようなニーズがあるのかなど、 地域における課題を、漏れなく把握すべきと考えますが、地域福祉を所管する健康福祉局長のお考えをお伺いします。
経済局長
近年、市内の飲食料品小売業の事業所数は減少傾向にありますが、そうした状況の中、地域毎の状況に合わせまして民間事業者、NPO法人、福祉団体など様々な主体により、買い物支援に取り組んでいただいているところです。
本市では、経済局、健康福祉局、住宅都市局、社会福祉協議会からなる「買い物弱者への対応に関する検討会」を定期的に開催し、買い物に困っている地域の具体的な状況や移動販売を行う事業者などの情報共有をしているところでございます。
経済局としては、民間事業者へのヒアリング等により幅広く買い物支援サービスの情報の把握に努めるとともに、商店街が実施するマルシェなど買い物支援に繋がる事業等に対し補助を行っているところでございます。
議員ご指摘の移動販売などへの支援施策につきましては、ニーズが高い地域が把握できた場合には、検討会において何が課題かを整理し、検討してまいります。
住宅
都市局長
スーパーや大規模商業施設に出掛けて楽しみながら買い物がしたい、 そこで憩いのひと時を過ごしたいという市民の思いは、生活の質の向上を図るうえで、大変重要であると考えております。
そのため、地域発意による交通課題解決に向けた地域主体の取組みを 支援する制度を構築し、まずは公共交通空白地において、買い物に関する地域のニーズも踏まえながら、新たな移動手段の導入を図ってまいります。
そのうえで、買い物などの日常生活の移動に不便を感じている方の 移動手段の確保については、関係局と連携をしながら検討してまいりたいと考えております。
健康
福祉局長
健康福祉局におきましては、介護認定を受けていない65歳以上の市民を対象とした、「健康とくらしの調査」を、平成25年度より3年に1回の頻度で実施する中で、買い物に困難を抱える方の実態把握を行っているところでございます。
令和4年度に実施した調査では、回答のあった方、約9千人のうち、徒歩圏内に、生鮮食料品が手に入る商店や施設、移動販売が「まったくない」と回答した方が約1.4%おられました。それらの方々に、生鮮食料品の入手方法を尋ねたところ、自分で出かけて買い物をするという回答が多い一方で、「家族の送迎で買い物をする」、「家族に頼む」、「宅配サービスを利用する」といった回答もございました。
また、平成27年度から、名古屋市社会福祉協議会へ委託し、各区に生活支援コーディネーターを配置するとともに、行政、地域活動者、民間事業者などからなる「生活支援に係る協議体」を開催し、高齢者の様々な生活課題を把握しております。その中で、買い物に困難を抱える方がいらっしゃる地域の把握に努めているところでございます。
今後も少子高齢化や核家族化の進展に伴い、本市においても買い物に困難を感じる方が増加していくものと予想されます。健康福祉局といたしましては、引き続き、名古屋市社会福祉協議会と連携し、地域におけるきめ細やかなニーズの把握に努めてまいります。
また、令和7年度には、令和9年度からの3か年を計画期間とする「第10期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の策定作業が始まり、様々なアンケート調査を実施することとなります。議員ご提案の、食料品等を取り扱う店舗数との関係を含めた、具体的な地域課題の把握に向けた調査につきましても、令和7年度の実施に向け、検討してまいりたいと存じます。
買物弱者支援の取組について(2)
~ 再質問 ~
森
ともお
健康福祉局長から令和7年度には「買い物弱者マップ」を作成し、具体的なニーズ調査を実施検討するのとご答弁がございました。そこで、再質問をさせていただきます。
まず、経済局長へ質問します。
この調査の結果、ニーズの高いエリアが判明すると思いますが、買い物弱者の支援について、先ほどのご答弁の通り、検討はもちろんですが、検討だけでなく具体的に進めていくことがなにより大切だと考えます。具体的にいつから始めていくのかお答えください。
次に住宅都市局長へ質問します。
この調査結果を踏まえ、買い物や日常生活に不便を感じている方が多いエリアにおいては具体的に新たな移動手段の導入を図る必要があると考えます。具体的にいつから、どのようにお考えでしょう。お答えください。
健康
福祉局長
関係局におきまして令和7年度に実施される調査結果を受けて、検討会において何が課題かを整理したうえで、まずは1か所をモデルとして令和8年度には取り組みを進めてまいりたいと考えております。
住宅
都市局長
買い物不便地域における新たな移動手段の導入にあたっては、地域が主体となって検討を進めることが重要であると考えております。
調査結果を踏まえながら、令和8年度を目途に、まずは「買い物弱者への対応に関する検討会」において、課題や対応策を整理し、移動手段の導入が適切な場合には、地域が主体となって移動手段を検討する取組みを共に推進してまいりたいと考えております。
買物弱者支援の取組について(3)
~ 要望 ~
森
ともお
それぞれの局から時期を含む具体的な答弁をいただきました。
今回は、経済局、住宅都市局、健康福祉局の3局にそれぞれ質問いたしましたが、この3局の取り組みだけで買い物弱者の問題が解決するというものではありません。
変化する時代の中で、少子高齢化が進んだ一方、この人口構造に街づくりが追いついておらず、高齢者が生活しづらい状況になっている事が、この買い物弱者の問題点だと考えると、まずはこの3局から、買い物弱者支援の具体的な第一歩を踏み出していただき、さらに地域のニーズに対してどんな取り組みができるのか、市全体で考えていく必要があると思います。市横断的に、着実に取り組みを進めていただくようお願いいたします。
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